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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『キャビン』感想

キャビン(字幕版)

キャビン(字幕版)

  • メディア: Prime Video

冒頭からシッターソンとハドリーを出すことで、一見B級ホラー映画っぽいけど実はそのように仕立て上げようとする存在がいるのだと明示しているのがいい。これを後半に判明する真相として配置するのではなく、最初から見せて地下組織の管理室とデイナたちの視点を同時に進行させていったのは正解だったと思う。設定はかなりガバガバだと思うけど、そーゆー緩さも含めて魅力的なホラーコメディでした。

盛り上がったのはやはりクライマックスのモンスター総出演パーティで、デイナとマーティがエレベーターで移動している時にあちこちの箱に閉じ込められたモンスターやゴーストが顔見せした時はワクワクしたものだけど、あれを後にきちんと大放出して地獄絵図を見せてくれるのが嬉しい。それまでデイナたちを鑑賞していた職員が殺されていくという因果応報も合わせて爽快。

主人公サイドもキャラクターは王道を揃えているようで、実は意外性もあるのが面白かったな。特にマーティは仕掛人で地下組織の側の人間だと根拠もなく思っていたから、本当に生贄で更にキーパーソンだったことに驚いた。カートもジュールスが殺されてカートだけ助かるのも妙なので何かの罠だろうと思ってたんだけど、こちらも考えすぎだったらしい。でも彼はホラー映画のお約束のような死に方ではなく、見えない境界線に激突するというイレギュラーなものだったのが衝撃だった。ホールデンの死に方が呆気なさすぎたから彼の劇的な最期は尚更印象に残る。デイナも頑張ってたけど、"古きもの" の正体がこの映画を見ている観客(要するに私)だったせいで結局「世界を救えなかったヒロイン」にされてしまうところが好き。クリヘムを目当てに見始めたようなものだけど、いい意味でバカバカしくて楽しかった。

ちなみにジャパニーズホラーにも言及があったけど、いかにもジャパニーズホラーらしいホラーで笑った。日本はアニメが話題になりがちだけど、ホラーも世界で愛されているんじゃなかろか。

『ROMA/ローマ』感想

いい映画だった。映像が美しく、空を横切る飛行機が映し出された水溜まりを撮る冒頭から見入ってしまった。無修正のフルチン演舞(普通にびっくりしたなこれ)や犬の糞なんかも克明に映されており、とにかく画への拘りがすごい。部屋の電気を順に消していくシーンだけでも感動できる作品はそうそうないと思うな。モノクロってこんなに綺麗だったんだな、と感嘆の溜息が漏れた。

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『私がクマにキレた理由』感想

私がクマにキレた理由(わけ)(字幕版)

私がクマにキレた理由(わけ)(字幕版)

  • 発売日: 2018/01/12
  • メディア: Prime Video

セレブの家に住み込みで子守として働くアニーの話なんだけど、アニーからミセスX、ハーバードのイケメンに至るまでキャラクターはみんな薄く、ストーリーも定型的で可もなく不可もない。ちょっと目を引くのは博物館のジオラマ風演出なんだけど、これもあんまし上手く機能してないよーな。最後のビデオテープ云々も強引だし、アニーの怒りの爆発力がそれほどでもない上に言葉にも力がないから解放感がない。

中盤以降はスカヨハやクリエヴァを鑑賞する気分で眺めていたけど、スカヨハの厚い唇は最高なんだよなやっぱり。

『HiGH&LOW THE WORST』感想

めちゃくちゃ面白かった。長回しを多用する喧嘩のシーンはハリウッドのアクション映画にも引けを取らないレベルだと思うし、戦う男を格好良く撮ることに関してはもう国内どころか世界を基準にしても最高峰と言っていいと思うな。キャラクターも相変わらず多いというか鬼邪高定時組以外は知らないキャラばっかだったけど問題なくついていけたし、幼馴染み組、鬼邪高全日組、鬼邪高定時組、鳳仙組と複数の視点で進行していくのに混乱しないのが本当にすごい。逆に牙斗螺はあまり印象に残ってないんだけど、これだけキャラクターが多い場合はむしろ正解だったんじゃないかとも。

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『カイジ 人生逆転ゲーム』感想

原作は子供の頃に数冊読んだきりで内容もほぼ忘れていたからか、新鮮な気持ちで見れた。原作にあった泥臭さはなくなっているけど、そこは敢えて追求せず役者の振り切った演技で攻めていたのが上手く作品にマッチしたのではないかな。『カイジ』をこーゆーアプローチで実写化したのは正解だったと思う。あと原作の名台詞も武器になっていて、カイジの「キンキンに冷えてやがるっ……!」や「うめーっ、悪魔的だああ!」、利根川の「質問すれば返ってくるのが当たり前か!」、「世間はお前らのお母さんではない!」、「勝たなきゃゴミだ!」、「金は命より重いんだ」などが聞けるだけでもテンション上がる。

あと山本太郎松山ケンイチが出ていたのも驚いたんだけど、藤原竜也の代表作である『バトロワ』や『デスノ』の主要キャストを出しているのが、サービスなのかたまたまなのかは不明だけどミーハーなのでやっぱりニヤニヤしちゃうんだよな。遠藤は原作では男だったように記憶しているけど、具体的にどんなキャラだったのか覚えていなかったこともあり、天海祐希版遠藤も上手くオチがついていてこれはこれで悪くなかったと思う。結構好き。

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『ソーシャル・ネットワーク』感想

マーク・ザッカーバーグFacebookを立ち上げた経緯とその裏の人間模様を、和解協議が行われる現在と過去を行き来しながら描くドラマ。Facebookに興味はないものの、デヴィッド・フィンチャー監督は刺さる作品が多いので期待してたんだけど、ちょーっとハードルを上げすぎたかなと。ハイライトもなくスピーディに淡々と描かれるからか、マークの天才ぶりやドロドロした人間関係が浅いように感じて没入出来なかった。役者はジェシー・アイゼンバーグアンドリュー・ガーフィールドはハマっていたと思うし、マークのキャラクターも面白そうなのに刺さらなかったんだよな何故か。

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