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『ブルーバレンタイン』感想

ブルーバレンタイン (字幕版)

ブルーバレンタイン (字幕版)

  • 発売日: 2015/03/13
  • メディア: Prime Video

刺さりそうな内容かなと思いつつも刺さりはしなかったけど、ライアン・ゴズリングミシェル・ウィリアムズの熱演もあってちゃんと面白かった。

冒頭の時点ですでにすれ違っていた夫婦を描いており、離婚へと向かっていく現在と結婚へと向かっていく過去が交互に描かれてクロスカッティングしていくのだけど、この演出はちょい微妙。離婚と結婚をエンディングに持ってきた後に二人が最高に幸せだった一瞬が花火となって打ち上げられていくエンドロールを流す、という意地の悪い構成は好みなんだけど、何度も落差のある現在と過去を行き来するから気持ちがなかなか盛り上がらなかった。ラストのシンディの実家での修羅場も無残で良かったんだけど、思ったよりは抉られなかったんですよね。あのぐちゃぐちゃな別れ方はとても好きなだけに惜しい。

ところで二人はどうして駄目になってしまったのか。中卒で定職に就かない自分と有能で看護師として働いているシンディとでは、釣り合わないのだとディーンは考えている。そしてシンディも他の男との間に子供が出来てしまったことで、ディーンの人生を奪ってしまったのだと考えている節がある。才能はあるのに現状で満足しているディーンをシンディが焦れったく思うのは、彼女の上昇志向が強いせいもあるし、血の繋がりのないフランキーを愛してくれているディーンに負い目を感じているからでもあるんだろうな。もちろん二人の不協和音はこれだけが原因ではないけど、最初から上手く行くはずがない夫婦だった。けど子供を身籠って不安定になったシンディに、ディーンが必要だったのも事実だからままならないな本当に。

セックスシーンに意味があったのは面白かった。ディーンにしろボビーにしろ行為そのものにキャラクターが出ていたし、主役夫婦も楽しそうにベッドでもつれ合う過去の二人とラブホテルでの寒々しい現在の二人の落差が良かった。