いい映画だった。映像が美しく、空を横切る飛行機が映し出された水溜まりを撮る冒頭から見入ってしまった。無修正のフルチン演舞（普通にびっくりしたなこれ）や犬の糞なんかも克明に映されており、とにかく画への拘りがすごい。部屋の電気を順に消していくシーンだけでも感動できる作品はそうそうないと思うな。モノクロってこんなに綺麗だったんだな、と感嘆の溜息が漏れた。
ただ、家政婦クレオの日常を淡々と撮り続けるから美しい映像だけで二時間以上も見続けるのは限界で、退屈を感じる時間は多かった。実際何度かギブアップしかけたし、デモの暴動が起きる後半からやっと面白くなってきた。そこからは激動の展開で死産に至ってしまうのだけど、海辺のシーンでクレオが吐露した「生まれてほしくなかったの」という言葉は、これまで抑えて生きてきた彼女のようやく出た本心だったのだと思うと切なくなった。
とりあえず雇い主の旦那とフェルミンのちんこはもげたらいいんじゃないですか。
