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『ゴッドファーザー PART II』感想

過去のヴィトーと現代のマイケルのシーンが交互に進行するからややこしい。特にマイケル編はキャラクターも多くちょっと入り組んでいるので、付いていくのに苦労した。まあ面白かったんだけども。前作で自らの才能と家族によって夢を断たれたマイケルが、守ろうとした家族を自らの才能により失って今度は孤独になっていく話で、特に疲れ果てたような彼の横顔が印象的。

今回は兄弟の話でもあり、中でもフレドが前作以上に掘り下げられて面白いキャラクターになっていた。弟への劣等感をロスに付け込まれて利用され、迂闊な振る舞いでマイケルを色んな意味で苦しめる。特にマイケルがフレドに熱烈なキスをしながら「残念だ」と告げるシーンが最高だった。あれほど苛烈な裏切り者への糾弾は初めて見たかもしれない。そして一度和解したように見せて結局フレドが殺されるラストも、見ていて居心地が悪い。カルロどころかフレドまで殺したらコニーが離れていくだろうことは分かりきっているのに、それでも抹殺を命じるほどマイケルは裏切りに対して容赦がない。更にトムを疑うマイケルと非情な命令を下すマイケルに戸惑うトムを見ていると、トムまで離れていく気配がする。

兄を殺したマイケルに対し、兄を思って自殺したフランクもいいキャラクターだった。彼はロスに嵌められただけとも言えるし、根は悪い人ではないのが伝わって来ただけに最期が切ない。ロスは正直あまり印象に残ってないけど、フランクは好きなキャラクターでした。

マイケルを苦しめる存在はフレドだけでなくケイもそうで、「あなたの子をこの世に産みたくなかったの」と堕胎を告白されるシーンは地獄。夫が妻に言われる言葉の中でもここまで絶望感の漂う台詞はそうそうないんじゃないか。まあケイがコルレオーネ家とは合わないことを知っていて求婚したのはマイケルなのだけども(しかしマイケル自身も才能はあってもコルレオーネ家に合っていたとは言えないのが残酷)。終盤のケイと子供たちを分断するかのようなドアの演出も、前作のラストシーンを思い出して遣る瀬無くなった。

終盤の粛正は、前作の派手な粛正とは違って静かに行われていくのが物悲しくてとても好き。しかしフレドもフランクもロスも殺す必要はなかったのに、それでも殺さなきゃならないほど追い込まれていくマイケルの姿に、一作目を見た時に感じた「孤独な死に方をするんじゃないか」という予感も更に強くなっていく。ママに零した「時代が違う」の一言が重い。

ヴィトー編はヴィトーが一人からのし上がっていく物語になっており、だんだん一人になっていくマイケルの物語との対比が効く。祭の喧騒に紛れてファヌッチを殺したヴィトーと、キューバ革命の喧騒の中でロスを殺そうとして失敗するマイケルとか。ファヌッチを殺したその手で、ヴィトーが赤子のマイケルを抱いて「愛してるよ」と言うシーンもいいんだよな。しかしヴィトーがいつの間にか街の人の間でヒーローみたいな扱いになっていたのは急でびっくりした。そこをもうちょい丁寧に描いて欲しかったというか、マイケル編とヴィトー編を二作に分けても良かったよーな。ただ、デ・ニーロの役作りは完璧で、マーロン・ブランドの演技をかなり研究したんだろうなと。素晴らしかったです。