ロログ

ネタバレ映画感想とかいろいろ

『スウィーニー・トッド / フリート街の悪魔の理髪師』感想

ミュージカルとは知らずに見たからいきなりジョニデが歌い出した時は驚いたし、前半はいちいち歌うのもあってちょーっとダレてしまったけど、ターピンがトッドの店にいきなり来るところからは盛り上がってきてそのまま最後まで面白く見れた。いつもはあまり好きではない暗い画面もロンドンという街らしくて好みだったし、トッドとラヴェットの白い肌やいい意味で作り物感のある血の色も良かった。何より「一方的な愛と憎悪と復讐の連鎖」みたいな話が大好物なので楽しかった。展開が早いしストーリーも単純なので愛や憎悪に重さはあまり感じられないけど、ティム・バートン監督の作る世界が私には合うんだろうな。

復讐に生きるトッドのキャラクター自体はそんなに刺さらなかったんだけど、せっかくやって来たターピンをなかなか殺さないから「はよせえ」と思いながら見てたら案の定チャンスを逃し、でもその後はその反省とばかりに速攻でグッサグッサ客の首を掻っ切っていくのはちょっと笑った。一方でラヴェットは何故そこまでトッドを好きなのかはよく分からないけど、トッドという愚かな男を愛する愚かな女として描かれていたところは好き。彼女の夢想する未来を描くシーンが妙にカラフルなのもいい。

そしてこの二人による終盤の地下でのラストワルツは最高。更にトッドは妻を奪われるなどして理不尽な目に遭っているのに最後まで救われないけど、無関係の人々を大量に巻き込んでいるから同情は出来ないところも良かった。