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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『アメリカン・マーダー / 一家殺害事件の実録』感想

コロラド州で起きた妊婦と娘二人が殺された事件を追うドキュメンタリー。ネトフリのドキュメンタリーは台詞とキャプションが字幕スペースを奪い合い、それらが区別なく並んだり上下左右に字幕が飛んだりする瞬間が頻発するから見づらくて断念することが多いんだけど、これは続きが気になったのもあって一気に見れた。

身勝手な理由で妻を殺してシャナンに罪を着せようとするクリスの見苦しさや娘にまで手をかける外道ぶり、そのくせ杜撰な立ち回り方にも目眩がするんだけど、Facebookに上げられた動画や当人同士のメッセージのやり取り、警察による捜査や取り調べ中の動画など、ほぼ脚色も何もない実際の映像だけで構成されているところに興味を惹かれた。警察がこれほど重要な映像を提供しているのも異例だろうし、被害者のシャナンが普段から動画投稿をしていたから出来たことで、それだけ私生活を赤裸々に公開出来る人が増えているのだなと改めて。『何者』の感想でも書いたけど私は自分の本名や顔を晒すことに強い抵抗があるから尚更、この生々しい映像群で構成された映画を作れる "今の時代" について考えさせられてしまう。あと夫が犯人であることは早々に察せられるので、実際の映像が使われているということは「自分が殺したくせに素知らぬ顔で妻子の無事を願う夫を演じている男」の顔を見せられるということでもある。おぞましい映像でした。