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『何者』感想

何者

何者

  • 発売日: 2017/05/10
  • メディア: Prime Video

就活ドラマかと思いきや就活要素は舞台装置になっており、実は誰もが持て余しがちな浅ましい承認欲求を突き付ける内容だった。拓人を始め登場人物のほぼ全員が痛い内面を見せてくるんだけど、映画を見ている自分にも刺さるものがあって、それが苦いんだけど面白い。

でも拓人の裏垢はあまり生々しさがなく、思ったよりは酷くなかった。周囲の人たちともやり直せる範囲だと思う。裏垢の内容を舞台として演出するところも良かったけど、"瑞月だけが舞台の登場人物として割り振られていない" ことで "拓人が瑞月の悪口だけは書いていない" ことを、"瑞月が観客席にいる" ことで "瑞月は裏垢を知っている" ことを表現しているのが面白かった。その上で演劇に打ち込んでいた時の拓人を瑞月が肯定するから、結末はものすごく優しいんだよなこの作品。逆にキツいなと思ったのは光太郎の「なんで拓人に内定が出ないのか、ほんと分かんねえんだよ」という台詞で、悪意がないあたりがタチ悪いな本当に。

ところで登場人物のネットに対する危機感の無さが気になったんだけど、特にみんな勝手に人の顔が写った写真をペロッとアップするのが怖すぎる。勝手に撮られて勝手にアップされるとか、その人との付き合いを考えるレベルなんだけどな私なら。これを突っ込んでもしょうがないのは承知なんだけど、どうしても耐えられなかった……。