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『Viva! 公務員』感想

Viva!公務員(字幕版)

Viva!公務員(字幕版)

  • 発売日: 2017/12/13
  • メディア: Prime Video

行革による人員削減で依願退職を迫られ嫌がらせであちこちに異動させられ、それでも公務員の既得権益にしがみつく男の話なんだけど、無駄にしぶといケッコのキャラクターが楽しい。自分勝手で怠惰でマザコンでグルメで無神経で差別もしまくる男なんだけど、それでも何故か憎めないんだよな。私はイタリア人には然程詳しくないので劇中で何度も出る「イタリア人はこんなのばっか」みたいな自虐ネタにはピンと来なかったけど、ケッコの「無自覚なクソ野郎」を自覚的に描いたシンプルなキャラクター造形は好み。厄介な方向に影響を受けやすく厄介な方向にブレないという、この面倒なクズを中心とした物語がテンポ良くユーモラスに描かれていてすんげえ面白い。映画を見ながら実際に吹き出すのは久しぶりだった。

あとケッコは普段はぐうたらだけど、実は適応力が恐ろしく高く有能な男だということも分かる。本人にやる気がないだけでわりとどこでもやっていけると思うんだけど、まあやる気がなきゃどうにもならんということで振り出しに戻るのがまたなんというか。そこが魅力に繋がっているのだけども。

ヒロインのヴァレリアもケッコの強烈さに負けないほどフリーダムな女性だったし、毎回ケッコがピンチに陥るたびにアドバイスする代議士も面白すぎた。あの手この手でケッコに署名させようとするシローニの奮闘ぶりも楽しい。

それでもここまで散々イタリアを皮肉っておきながら、最後は感動的かつ美しいエンディングに到達するんだから驚いた。ちょっと泣きそうになったほどで、たいへん気持ちのいい終わり方でした。