『めまい』感想

めまい (字幕版)

階段を登った時の目眩を誘発するような画やサイケデリックな悪夢などの映像表現はインパクトがあったし、皮肉を大いに含んだストーリーというかプロット自体は好みだった。それでもハマり切れずに終わっちゃったな。

前半はスコットがマデリンを尾行するシーンが多く退屈で、私がマデリンに興味が湧かなかったのもあって眠くなった。が、マデリンが転落死してからはストーリーが一変して盛り上がってくる。"カルロッタに取り憑かれたマデリン" をジュディが演じていたら、今度はスコットが取り憑かれたように "マデリンという幻想の女" をジュディに求めるようになってしまう、という流れが面白い。ここのスコットの執拗さはいい具合に気持ち悪くて良かった。まあジュディも金目当てでエルスターと組んで結果的にはスコットのトラウマを利用しているので、そう考えるとあまり同情は出来ないんだけども。

しかしスコットにマデリンそのものになることを求められたジュディが、悲痛を押し殺してスコットの愛を得るために彼の要望を受け入れたら死に方までマデリンそのものになってしまった、という結末はちょっとゾワゾワ出来てよかった。こういう呪いじみた皮肉は好き。