『ヴェノム』感想

ヴェノム (字幕版)

ヴェノムが可愛い、てのは聞いてたけど想像以上に「そらヴェノムに悶えろ」と言わんばかりの映画で驚いた。ダークヒーロー的な立ち位置になるのかと思いきやエディに恋のアドバイスをするわ聞かれてもないのにシンビオートの弱点を教えるわ、更にポテトとチョコが大好きなところなんかもあざとい。ラストのエディとの「謝れ！」「やだ」「謝れ！」のやり取りなんて完全に気のいいあんちゃんで笑う。まあそうは言っても人間を食いちぎったりはするけども。ただ、このコンビが何故ここまで仲良くなったのかはよく分からなかった。負け犬同士だったから、とはちょろっと言及されてたけど、エディはともかくヴェノムが負け犬ってのはピンと来ないんだよな。続編がありそうな終わり方だったし、今後はヴェノムの過去を知る機会が欲しい。あと後半でいきなり地球を救う話になるのもちょっと雑かなと。ロケットが急に出てくるのも驚いたし、ここで「地球を救うぞ！」と二人の意見が一致するのも唐突感があった。もうちょいイチャイチャバディムービーに振り切ってくれたら良かったんだけども。気楽に楽しめたのは確かだけど、更に面白い作品になれたよなとも思ってしまう。

ただ、ラストでエディがヴェノムに「悪人なら食べていい」だの「見分け方はフィーリングで」だの話していたのは、コンビの可愛さに浸っていたところに冷や水をぶっ掛けられた感があって最高。環境保全の精神が行きすぎて次々と実験で人を殺すに至ったドレイクをエディは糾弾しようとしていたのに、最後でそのエディの倫理観が侵食されつつあることがサラッと出されるんだからゾワッとした。なんつー皮肉だ。

ところでアニーの今彼のダンがめっちゃいい人で、それが健全でとてもいいなと思った。だから最後にエディとアニーが寄りを戻さなくて安心した。『アントマン』の元妻の旦那さんもそうだったけど、何でもかんでもライバルにする必要はないのだなと。むしろヴェノムがアニーに対して「エディはオレのものだ渡さんぞ」と（一方的な）ライバル心剥き出しだったのが笑う。