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『アンタッチャブル』感想

アンタッチャブル (字幕版)

アンタッチャブル (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

マフィアが出てくる作品は往々にしてストーリーが複雑だという思い込みがあったけど、これはたいへん分かりやすかった。見事な勧善懲悪でそれ故に意外性がなく、情報を入手した経緯も割愛されることが多いので描かれるのはほぼ手入れのシーンになり、結果としてあっさりした印象もあるし、正直ストーリーはめちゃくちゃ面白いというわけでもない。

けど豪華なキャストによる演技はキャラが立っているのもあって見ていて楽しいし、シンプルなストーリーを上手く盛り上げるような印象的な画やエンニオ・モリコーネの音楽も良かった。文字のオープニングは格好良いし、真上からカポネを見下ろす俯瞰ショットから始まるのも好き。俯瞰ショットと言えば、晩餐会でカポネがバットで部下を殴り殺すシーンも最高。身振り手振りで話すパフォーマンスといいオペラ鑑賞中の何とも言えない表情といい、カポネは出番こそ少ないものの強烈な印象を残してくる。でもやっぱりマローンの格好良さが群を抜いていて、特に橋でのネスとの出会いのシーンや死体を使ってカポネの部下から情報を引き出す機転を見せるシーンがいい。ただ、最期のシーンは即死でもおかしくない殺され方だったから、変にドラマにしなくても良かったんじゃないかとは思った。ちょっと軽く見えてしまうんだよな。でもニッティがマローンを殺しに来た時、酒を飲むマローンが見れるのは面白い。禁酒法を取り締まるべきの、それも正義感が強い刑事が実は法を犯している。今となっては禁酒法自体がどうかと思うし、そうした悪法による理不尽さがよく出ていた。

逆にネスはあまり印象に残らなかった。正義感の強い役人なんだけどそれ以上でも以下でもなく、カポネ逮捕への執念もマローンの方が強く感じたほど。ケヴィン・コスナーアルマーニのスーツも決まってて格好良いんだけど、ちょーっと無難すぎた。名シーンと名高い「オデッサの階段」のオマージュシーンは素晴らしかったけど、スライディングしながら銃をネスに投げ渡して乳母車を止めたストーンが持っていくし、もっと言うとキャラクターより乳母車そのものに意識が集中してしまうんだよねあのバトルシークエンス。とはいえ名シーンであることに変わりはなく、ちゃんと見れて良かったと思ってます。