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『ショーシャンクの空に』感想

ショーシャンクの空に(字幕版)

ショーシャンクの空に(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

教養と希望を武器に静かに立ち回る冤罪のアンディと、希望もなく諦観している有罪のレッドを軸に繰り広げられる人間関係描写が秀逸で、二時間半という長尺が気にならないくらいに面白かった。最初はアンディが主役だと思ってたんだけど、終わってみれば実はレッドの方が主役なのかなと。だから彼の視点で語られるんだな。あとモーガン・フリーマンは声が良いから、語り部として適任すぎる。聞いていて本当に心地良かった。

刑務所ではアンディとレッドの友情もすごくいいんだけど、アンディの立場が変わっていくのが王道的で真っ当に面白かった。囚人に一時の安らぎを与えたり、音楽を聴かせたり、図書館を作ったりする一方で、ノートン所長やハドレー主任の奴隷とも化していくのがままならなくて、そこも含めての面白さだったなと。

他にも印象的だったのはブルックスで、仮釈放の日にカラスを空に放つシーンはゾッとした。長く人に飼われたカラスが野良で生きていけるわけがないし、ブルックスの未来を暗示しているのだとすぐに分かってしまって気持ちが沈んだ。それ以上に自由への賛歌を描きながら自由からの死を描くという、その意地の悪さに惚れ惚れした。そしてブルックスの死があったからこそ、二人の再会という希望に満ちたエンディングに到達出来るのもいい。あれはアンディにとって二度目のプロポーズであり、結婚でもあるんだろうな。恋愛関係でも夫婦でもなく、親友だからこその運命というか。物語がアンディが自殺しようとした銃で始まり、ノートンが自殺した銃で終わるのも象徴的だった。

見る前は号泣させられる話なのかと思ってたけど私が泣くことは一度もなくて、でもそこがすごく良かった。脱獄したアンディが雷雨の中で全身で喜びを表現するシーンは、これまで耐えに耐えてきた主人公が解放されるシーンだから爆発的な感動があっても良さそうなものなのに、私が得られたものはそれとはまた違って、静かなカタルシスみたいなちょっと想定になかった感動だったんですよね。それがなんだか心地良かったというか。あとはティム・ロビンスの足の長さとショーシャンク刑務所の囚人服の可愛さが印象に残ってます。レッドも帽子がよく似合っていた。