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『性の劇薬』感想

性の劇薬

性の劇薬

  • 発売日: 2020/11/01
  • メディア: Prime Video

あんまし期待してなかったんだけど思ったよりは良かった。端的に言うと生に絶望している男に強制的に快楽を与えて生を実感させる話で、『性の劇薬』の「性」には分かりやすく「生」の意味も込められているんだろうな。

桂木に似た恋人を失った過去を持つ余田が、自殺しようとしていた桂木に苛立ち、性の劇薬を与えて浮上させる。そして死に場所を探していた余田に、今度は桂木が性の劇薬を与えて浮上させるという流れで、特にストーリーが面白いわけではないんだけど、性欲は人間の重要な欲求の一つなので、生を実感させるにはこれが一番手っ取り早いと考えた余田の行動はそこまで突飛でもない。経験のない男性にとっては未知の快楽だろうから、尚更効果はありそうだとも思える。

ただ、桂木にしろ余田にしろ絶望の描写が浅いのはちょっと残念だった。あと『娼年』もそうだけど、エロシーンが続くとどうしてもだれてしまう。必要なのは分かるんだけども。ちなみにベッドのパイプや足やアングルなどで性器が上手く隠されていて、この作品でモザイクが入ると興醒めしそうだからこれは良かったと思う。しかしラストは攻め役と受け役が逆転するんだとばかり思ってたんだけど、それはないのね。余田みたいな男を組み敷く方がずっと面白そうに思えたんだけどな。

印象的だったのは春樹が自殺した時の桜の花びらが舞う演出とバスルームで射精を促された桂木の「迫り上がる!」という台詞で、どちらも私のイメージしていた「BLファンタジー」を如実に表現しているシーンだったなと。