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『SCOOP!』感想

ベテランのゴシップカメラマンと新人記者のコンビを描くドラマ。この映画を見て真っ先に得たのは「古い」という感触だったんだけど、特に静のキャラクターが2016年の映画にしては時代遅れ感がある。エンドロールを見てようやく昔の映画のリメイクだと知ったけど、それなら今の時代に合わせてアップデートしても良さそうなのに古いままなのは意図通りの演出なんでしょーか。だとしても私はそこに魅力を感じなかった。脚本も判を押したようにベタなネタをノルマのようにこなしているし、キャラクターに力がないのもあって中盤には飽きる。後半に至ってはシーンありきで話が動いていくから不自然で、それなら「パパラッチ」という設定を活かして力技で突き抜けてくれたらよかったのにこの映画はすべてにおいて中途半端なままで終わる。前半はテンポ良く進行するのでまだ面白く見ていられたんだけども。

とにかく福山雅治に下品な中年パパラッチ役が合ってないというか、無理してるなと感じてしまってどうも。相棒の野火も魅力がないというよりキャラクターが定まってすらいないから、この二人を見るのはすんげえ退屈でした。後半にはキスしたりセックスしたりするから更に萎える。

チャラ源の暴走から結末までの流れもチープだった。野火ってあんな時でも決定的瞬間を撮ってやる、というような貪欲な意志を持ってるようには見えないから違和感が付き纏うし、静が殺される瞬間の写真の掲載を決める流れも雑で、ジャーナリズムが人権が尊厳が云々をやるならそこはもーちょい掘り下げるべきだったのでは。その前の、連続殺人犯の「今」の写真を撮ろうと躍起になるところもよく分からなかった。芸能人のスキャンダルなら分かるけど、馬場をわざわざ走らせてまで撮る価値があったとは思えないんですよね。

チャラ源も何がしたかったのか分からん。リリー・フランキーは熱演していたけどそれが見事に空回りしていて、なんか見ててちょっと辛かった。定子役の吉田羊と馬場役の滝藤賢一はいいなと思ったけど、二人とも物語上でのポジションがはっきりしないのが……。なんつうか、最後まで乗れない映画でした。