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『ハンニバル』Season 1 感想

殺害犯への共感という特異な能力を持つ不安定なFBIアカデミー教師が、精神科医のサポートを得て事件解決に挑むサスペンス。好きそうなやつだとおすすめされて見始めたらめちゃくちゃ好きなやつだった。1シーズンだけとはいえ10日で完走したのは私にしてはかなり珍しく、それほど楽しめたということでもある。ウィルやレクターを始めとしたキャラクターや事件も魅力的だったし、インパクトのある死体のビジュアルや向かい合って椅子に座る画などで映像面も楽しめた。それとドラマやアニメは「長い話を小分けにしたエピソードを追い続ける」のがしんどいので滅多に見ないけど、これは基本的に一話で完結するので「短い映画のシリーズ」という感じで見やすいんだな。見ている間はCLAMPの名作『東京BABYLON』を思い出した。映画の方は『羊たちの沈黙』しか見れてないし先に全部見ておくべきだったなとちょっと後悔もしたけど、ドラマ版をWOWOWで見れるのが2月末日と迫っているので映画の方は後にするしかなかった。最後まで完走できるよう頑張ります。

レクターは映画版も好きだけどこちらは本性が露見する前の出来事なので、ウィルやFBIからの信頼を得た状態で次々と裏で暗躍するレクターの動向が面白い。マッツ・ミケルセンもハマり役だった。男性のスーツはシルエットの美しさに見入ることはあってもスーツのデザインそのものに注目することはあんまりないんだけど、レクターのスーツは多彩で見るのが楽しかったな。殺す時のテラテラのビニールスーツは笑ったけども。多彩といえばレクター主催の会食も毎回じわじわ来る。しれっと人肉を他人にまで振る舞ってんじゃねえ。あと私も頭痛に悩まされているので、脳炎を隠すレクターにはイラッと来た。でもウィルを助けたいし友人になりたいとも本当に思っているようで、その辺からも彼の歪んだ本質が出ていて最高でした。この二人はレクターが支配しているように見えて実は共依存の関係にあると思うんだけど、それもまた美味しい。ただ、ラウンズという女記者にはかなりイライラさせられたので、彼女が死ぬかどうかを待ち侘びていたのに結局レクターは殺さなかったのでそこだけは大いに不満です。は よ せ え。

もう一人の主人公については『羊たちの沈黙』のクラリスとレクターの関係が好きだったのでどうかな、と構えて見てみたらこちらもいいキャラクターだった。レクターに弄ばれて追い詰められていくウィルが可哀想で、見ている最中は「セカンドオピニオンを頼らんかい」と何度も言いたくなった。一方で苦しむウィルにはものすごい色気があり、これを引き出したいレクターの気持ちも分からないでもないな、とも。マッツ版レクターにも色気はあるんだけど、ウィルの色気は更に凄まじかった。ヒュー・ダンシーの熱演もいい。しかし猟奇的殺害犯の追体験なんて繰り返してたらそりゃおかしくもなるわな。シーズン1ではレクターの大勝利で終わったので、今後の彼の反撃が楽しみ。