タイトルやキービジュアルからコメディを想像していたんだけど、中身はドストレートな人情ドラマだった。悪人は登場せず「ここまでやるの?」ってレベルで他人のため吉岡宿のためにと尽くす人が出て来るほどで、こんなに上手く行くかな、なんて疑問が頭を過りつつもやっぱり感動してしまった。
キャラもみんな個性的だけど特に印象的なのは浅野屋で、店を潰してまで町に尽くすのはちょっと怖くもあるけどそこを含めて面白いキャラクターだった。穀田屋とのエピソードもいい。菅原屋も瑛太の自然な演技が良かったのと、最初は乗り気じゃなかったのにだんだん真剣になっていくのが熱い。寿内もインパクトがあった。西村雅彦は良くも悪くも周囲を引っ掻き回す役がハマる。一見冷酷に見える萱場様も良かったし、終盤の殿様登場に至っては羽生結弦が演じているのがずるい。キャスティングの勝利。
気になったのは一部でテンポがもたついてしまう点で、特に親子二代に渡る浅野屋の話を大肝煎が代官に熱弁するところはさすがにくどい。あそこはもーちょい雑でも良かった。
それでもいい映画だったのは確かで、後味も良かったし面白かった。キャストが魅力的だと楽しさが倍増するな、という当然のことを思い出した。