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『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』感想

ベトナム戦争において、負け戦と知りながら若い兵士を送り続けて国民を長く騙してきたアメリカ国家の罪を新聞社が暴露するか否かという話で、派手な作品ではないけど面白かった。見る前は堅そうな映画だなと思ったけどそんなこともなく、意外にも見やすいんだよね。

最初にスクープしたニューヨーク・タイムズ視点で描いた方がドラマティックになったと思うけど、敢えてワシントン・ポストにフォーカスを当てたのは、キャサリンを描きたかったんだろうなスピルバーグ監督が。これはフェミニズム作品でもあり、特に男性陣の中に一人佇むキャサリンの姿が何度も映し出されるのが印象的だった。そうして抑圧されてきたキャサリンだからこそ、国家の脅しに屈せず掲載することを決めたのだと思います。キャサリンの孤独な決意の重さをベンが知り、ベンの報道の自由への熱意にキャサリンが影響され、そうして到達するクライマックスの「自由の勝利」が気持ちいい。最後にはニクソン大統領の終焉を思わせて終わるところも良し。

あとメリル・ストリープトム・ハンクスという大物俳優を大仰に撮るのではなく、あくまでも「影響力のある新聞社の一員」として撮っていたのも真摯で好印象だった。特に粗野だけど誰よりも熱く誇り高い敏腕記者を演じるトム・ハンクスが格好良い。バグディキアンを演じたボブ・オデンカークも良かった。彼が公衆電話をかけるところは緊張感があったけど、他にもこの映画はやたらと電話するシーンが多く、どれも印象に残るのが面白い。