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『名探偵ピカチュウ』感想

孤独な青年が、事故死した父親の事件の謎をポケモンと共に追うアドベンチャー。『ポケモン』のゲームは序盤で挫折したしアニメも見たことがないから楽しめるか不安だったけど、結論を書くと「私向きの作品じゃなかった」の一言に尽きる。といってもピカチュウはかーなーり可愛かったし、ティムとピカチュウという組み合わせも微笑ましく眺めていられた。が、だからこそ脚本が好みじゃなかったというか……。

ストーリーはだいぶ雑で、ハリーの死を疑うことになる序盤から早々に失速する。ハリーの死体を確認もせず死んだと言い張る警察にまず違和感があって、いやでもこれは多分敵とグルなんだろうなと考えたものの、話の進行が下手なのもあってそれ以降もグイグイ来ない。これは最後まで改善されず、ハワードの目的も結局よく分からなかった。まあピカチュウの記憶を消したりハリーの魂をわざわざポケモンに移したりしたミュウツーの意図も謎だったけども。「なんでそうなるの?」「なんのために?」という疑問が次々と湧くから、プロット自体はシンプルなのに話に説得力がなく没入できなかった。

だからストーリーはさておいてティムとピカチュウを愛でる方向で見ていたかったのに、ピカチュウの中にハリーの魂が預けられていたという真相がラストに明かされてちょっとしたショックを受けた。つまりティムはピカチュウではなく父親との仲を育んでいたらしい? ラストは息子と父親が和解していてそれ自体はいい話だと思ったけど、私が見たかったのはティムとピカチュウの物語だったんですよね。

あとライムシティは人間とポケモンが共生する世界だそうだけど、人間がポケモンを使役する世界との違いがよく分からなかった……のは、私が『ポケモン』の世界に詳しくないからなんだろうな。というわけで残念ながらこれは「私には向かない作品」だと思ったのでした。