悪を断つために道を踏み外していく刑事の破滅譚を描いたドラマ。白石和彌監督作なので期待してたんだけど、綾野剛の諸星はちょっと軽いかなと思ってしまった。熱演ではあるけど、悪徳刑事にしては凄味や狂気が足りない。マッチポンプで功績を立てていく様をコミカルに描いた前半も弾けきれておらず、本来あるはずの作品の毒も少し希釈されてしまっているよーな。監督の意図通りなのかもしれないけど、私はもっと毒のある作品が見たかった。
徐々に落ちていくのかと思いきや村井に言われてすぐ違法行為に手を染める序盤は、善悪や倫理云々より諸星の素直さが異様でちょっとワクワクした。ただ、ここからが単調に感じてしまったんですよね。YOUNG DAISの演じる太郎とか面白いキャラクターだったんだけどな……。
組織的なやらせが横行する中盤は諸星も銃器対策のエースにまでなっていくけどここもあまり盛り上がれず、転落してからは冗長気味。追い詰められた諸星がシャブを打つ場面は迫真の演技が見られるし、諸星が道警のいいように使われているだけなのが分かりやすく出ていてそこは滑稽で良かったとは思うんだけども。なんつうか悪い作品ではないし諸星や道警のやってることはちゃんと最悪なんだけど、前半も含めてやはり中途半端な印象が拭えなかったなと。
