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『戦場のピアニスト』感想

戦場のピアニスト(字幕版)

戦場のピアニスト(字幕版)

  • メディア: Prime Video

ユダヤポーランド人であるシュピルマンの視点からホロコーストを描いており、二時間半という長尺が気にならないほど見入ってしまった。ユダヤ人への差別や迫害、ユダヤ人とポーランド人による蜂起などはすべて淡々と描かれているのに中弛みを感じないし、むしろ真に迫ってくるものがある。中でもゲットーで暮らしている時に、向かいのアパートのバルコニーから車椅子に座ったおじいちゃんが投げ落とされるシーンはショッキングだったな。「うわあ」って声出た。死体もそこら中にゴロゴロ転がってるし、ドイツ兵の気まぐれで殺されたりするのなんて日常茶飯事で、それでもこんなのは氷山の一角でしかなく実際はもっと凄惨なものだったんだろうなとも。

シュピルマンはピアニストだから何が出来るわけでもなく、ひたすら耐えて逃げてプライドも捨てて色んな人に慈悲を乞うだけなんだけど、そうして辿り着いた灰色の廃墟の美しさに鳥肌が立った。ドイツ軍将校に促されてショパンの曲を弾くシーンは、それまでの生き延びることに必死でボロボロだったシュピルマンがピアニストとして復活する様を描いており、シチュエーションも相俟ってドラマティックで鳥肌が立つ。あの将校もドイツの終焉を前に、彼の演奏をどんな気持ちで聴いていたのか。そういう意味でもぐっと来るシーンでした。

シュピルマンはとにかく「運が良かった」の一言に尽きるんだけど、その運の良さに白ける場面も唯一を除いては特になかったと思うし、最後まで丁寧に描ききってくれたのが良かった。ヘラーがシュピルマンを助けてくれたのだけは最後までよくわからなかったけども。