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『ピーターラビット』感想

神経質な青年とウサギたちの壮絶な殺し合いを描くアクション・コメディ。動物映画には興味ないんだけど、キャラクターがほぼ全員クソ野郎だと聞いて鑑賞。本当にクソ野郎だらけだった。最高。

まず主役のトーマスはウサギとの戦い以外でも便器の水を飲もうとしたり、バードウォッチングの際にはノートに「ハト」とだけ延々書き続けたり、職場の同僚のお坊ちゃんを死んだことにしようとしたりとキャラクターが強烈で楽しい。そしておかしな人なんだけど根は善人だということも分かるのが絶妙で、ドーナル・グリーソンがすんげえハマってた。

動物たちもキャラクターが多彩で、中でもやっぱりウサギのピーターが見ていて楽しい。フリフリ揺れる尻とかよく動く耳とか細かい表情の数々とか、見た目や動きがとにかく可愛い。けど彼は可愛いだけでなく、害獣であり畜生でもあるんだよな。元々あの辺の土地は動物たちの場所だったようだけど、徐々に戦いの理由がビアを奪われたくないという私情にシフトしていくし、単純に人の家や畑をめちゃくちゃに荒らす者にやっぱり慈悲はないんである。それでもウサギとして見ると可愛いと思うし、そこも含めて憎たらしいのがずるい。ベンジャミンや三姉妹もいいキャラクターでした。しかし柔らかなタッチのアニメーションで父親ウサギが速攻でパイにされる過去エピソードはシュールだった……。

そして伏兵はヒロインのビアで、トーマスやピーター以上にクソ女として輝いていた。マグレガーのじいさんが獣害に遭ってた時は無責任にウサギを庇ってたのに、自分の絵を台無しにされた途端にキレるのがひっでえ。彼女は最後まで動物の声が聞こえないようだったけど、それはクソ女だからとしか思えん。

そんなビアを巡ってトーマスとピーターが殺し合う後半も楽しい。家の中での攻防は『ホーム・アローン』でも見たノリになってるし、あちこちで爆発するからマグレガー家の畑が地雷原のようになるのが面白すぎる。ピーターが故意にアナフィラキシーショックを与えるシーンは「やり過ぎでは?」とも思ったけど、トーマスへの殺意の高さを伝えるには説得力があり過ぎるのがもうね。毎回電気ショックで盛大に吹っ飛ぶところも好き。それでも壮絶な殺し合いを経て、テンポよく綺麗なエンディングに到達するのが素晴らしい。ビアはやっぱり酷い女だと思うけど、それも込みで気持ちのいい終わり方だった。あとロンドンから戻る時の開き直ったハイライト集も笑う。同じ女を愛した者同士だからかなんなのか、意外と気が合いそうなトーマスとピーターが可愛かったです。