ロログ

ネタバレ映画感想とかいろいろ

『パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー』感想

嫌いな作品になってしまった。「死を遠ざけるのではなく、生を高めるのが医者の務め」というパッチの志は素晴らしいと思うけど、破天荒な言動は独善に満ちていて周囲への迷惑になりかねないものが多く、それらがことごとく美談にされてしまうのがしんどい。学部長を単なる悪人として描くことにも疑問が残る。自分の理想にカリンを強引に巻き込むのもどうかと思ったし、困っている人を助けたいから無料診療所を作る→備品を盗まれる→病院にはいっぱいあるからそこから盗む、という流れにも引いた。他人に迷惑をかけないと成り立たない「善行」なんてクソ食らえ。ラストの審議会に至っては、医者の定義の話は詭弁としか思えず感動にはとても至らなかった。

カリンの死はそれまでパッチの行動を綺麗に描いてきたからこそのカウンターなんだと思うけど、この二人の関係に魅力を感じなかったので感動へのフックとしても機能しなかった。あとロビン・ウィリアムズモニカ・ポッターの年齢的に、二人が恋愛関係に至るのがちぐはぐに見えたのも原因。どちらも成人であることを前提として、お互い納得の上なら歳が離れてよーがなんだろーが好きにしたらいいと思うけど、これはロビン・ウィリアムズをキャスティングしたことによるズレを感じた(実際のパッチの当時の年齢についてはよく分からんけど)。

とにかく主人公が合わないと厳しい、という当たり前のことを実感させてくれた映画だったな。良かったのはフィリップ・シーモア・ホフマン演じる同居人の存在で、出番は少ないんだけど妙に印象に残った。