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『メメント』感想

メメント (字幕版)

メメント (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

難解だと聞いて敬遠していたけど、『インセプション』が刺さったので挑戦。面白かった。カラーパートはエンディングから過去に遡り、モノクロパートは開始地点からそのまま進む仕様で、ターニングポイントとなる中間地点を軸に並べられた二つの時系列の物語が左右からドミノ倒しのように同時に倒されていく。それを一定間隔で視聴者が交互に追う形になっており、この特殊な見せ方はややこしいけどこの作品においては上手く機能していた。記憶がリセットされるというレナードの視点を体験出来るし、過去を遡るごとに新たな情報がテンポよく出現するのが面白い。

しかし厄介な記憶障害を持ちながら復讐に生きる主人公を私利私欲のためだけに利用するキャラばっか出てくるなと思っていたら、他でもないレナード自身も自分の病状を利用していたというオチにはやられた。しかも誰かが止めない限り彼は何の罪もない人間を自分勝手な理由でこれからも殺し続けるという、めちゃくちゃ恐ろしい結末なんだよな。更に記憶がリセットされた彼は、殺すために「復讐」という正当な理由があると思い込んでいるからタチが悪い。ただ、テディのような真相を教えてくれる人間がいなくなったから、そう遠くない未来に行き詰まるんだろうな。遣る瀬無い話だったけど、好みの話でもあったのでそりゃもう満足出来た。

短い感覚で記憶がリセットされるから目的がないと動けない、てのはまあ理解出来なくもないんだけど、このあたりは次の行き先をキャラクターに指定されることで進行していくRPGの主人公じみている。つまりレナードは「ジョン・G」というラスボスを倒すために、色んな人に導かれながらメモを残して進行していくのだな、と考えるとたいへん分かりやすい。