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『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』感想

お馴染み毎回アクションで圧倒してくるトム・クルーズフラグシップタイトル群だけど、予告で見た「離陸する輸送機にぶら下がる」というどうかしているシーンを冒頭に持ってくるとは思わなかったからいきなり爆笑した。ウッソだろお前。これが謎のツボに入ったらしく、IMFメンバーがこぞって「Open the door!」「Open the door!」って叫んでるのが面白すぎてブヒャブヒャ笑ってしまった。他にも両手を縛られている状態でのポールからの脱出、オペラ座の舞台裏での攻防、ベンジーとのカーチェイスや『2』を思い出すバイクチェイスなどはどれも見入ってしまう。水中でデータを書き換えるシーンも、イーサンの頭上から放水口を見下ろすショットからゾクゾクしたし、今までアクシデントがあってもなんだかんだで乗り越えてきたイーサンが失神していたのが印象的だった。かなりキツそうだもんなあれ。あとアクションといえば、相手の体によじ登って攻撃するイルサのスタイルが好き。アベンジャーズのナターシャもよくやっていたけど、女豹を思わせてワクワクする。

ストーリーはエージェントの物語になっていて、諜報活動に疑問を抱いて反逆し、シンジケートを掌握したレーンの恐ろしさと、諜報員として利用された挙句に捨てられたイルサの悲哀を描きながら、そんなイルサに自分を重ねつつIMF解体後も仲間との友情で切り抜けるイーサンが上手く主人公として輝いていたなと。特に保身のためにイルサも捨て駒にするアトリーと、ベンジーを救うために迷いなく奔走するイーサンの対比がいい。思えばイーサンのキャラクターも、初期は「トム・クルーズが演じるすごいエージェント」でしかなかったのに徐々に上手く肉付けされてきたなと、そんなことを改めて思ったりも。

あと今回はイーサンと命懸けのドライブをしたり敵に攫われたりと、何故かヒロインポジションに収まっていたベンジーがイキイキしてて笑った。ルーサーは辞めたらしいので仕方ないけど(それでも協力してくれるんだからいい人だな)、ブラントは中間管理職でエージェントとしての出番が少ないのが寂しい。前作の散々な宙吊りで懲りたのかと思ったけど、よく考えたら本来は分析官だからこれが通常なのか。序盤の委員会で「君たちは運任せな部分が多く、今までの成果も単なる偶然のように思える」と身も蓋もないことを言われてたのは吹いた。大正解!

新キャラのイルサはヒロイン役こそベンジーに譲ったものの、ミステリアスな美しさとイーサンに引けを取らない強さが格好良かった。イーサンとは恋愛関係にならず、安易にキスシーンを入れてこなかったのもポイント高い。ラストの再会を思わせるさり気ない会話も二人らしくていい。

ショーン・ハリス演じるレーンも不気味で存在感があり、好きなキャラクターになった。アトリーに似ているので終盤は混乱したけども。ラストはイーサンが序盤にやられた「IMFの指令を装っておちょくられる」「閉じ込められて気絶させられる」の二点をやり返す形で決着がついたのが痛快で、無言で悔しそうにイーサンを凝視するレーンの表情も良かったな。

しかしこのシリーズは毎回ちゃんと面白い作品を出してくるのがすごい。特に『3』から安定してきた気がするけど、こうしてシリーズの底力を感じさせてくれるのが嬉しい。