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『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』感想

今回もアクションが前作を凌駕してきたけど、ここまで来ると笑うしかない。トム・クルーズの「常に最高の娯楽を提供したい」という確固たる信念を感じる。ヘイロージャンプでのパーティ会場潜入(普通に潜入出来んのか)、気絶したウォーカーを助けながらギリギリまで降下(馬鹿にしてたくせにしっかり雷にやられてるのはギャグなのかウォーカー)、イーサンとウォーカーを圧倒する偽ラークとのトイレでのファイト、パリ市街や凱旋門前のラウンドアバウトでの逆走バイクチェイス(ちょくちょく減速しながら走るのがリアルでハラハラ出来る)、ヘリコプターでのギリギリすぎる攻防(ここは少し怖かった)、タイムリミットが迫る中での崖のフリークライミング、と怒涛のアクションシーンを堪能出来てもう大満足。でもそれ以上に、ロンドンでウォーカーを追って走るシーンが良かった。ベンジーのうっかりが多発するナビなど楽しい要素もあるんだけど、色んな乗り物やハイテクガジェットを駆使して乗り越えてきたイーサンが、ここでは自分の体一つでただただ走り続けるのが熱い。なんかもう泣きそうになったよね少しだけ。これはシリーズ作品を見続けてきたからこそ得られた感動で、胸に来るシーンでした。

ストーリーではイーサンの内面描写に踏み込んできたのが良かった。特にジュリアを再登場させたことで、イーサンの苦悩がはっきりと可視化されたのが大きい。不可能なミッションをこなすために無茶ばかりしてしまうけど、ルーサーを決して見捨てず、自分と同じ境遇のイルサを今度こそ救い、大量の犠牲者を出すような作戦は変更する、そんな "正義のヒーロー" であるイーサンをジュリアが肯定するのが泣ける。何度も謝罪を繰り返すイーサンが痛々しかっただけに、彼が救われてホッとした。しかしこの二人の関係は本当に切ないな……。

気になったところもあって、イーサンとイルサに恋仲フラグが立ったように見えたのはちょっとな。この二人は恋愛関係にならないところが良かったんだけども。あとウォーカーは最初は面白そうに見えたのに今ひとつどういうキャラクターなのか掴みにくかったし、レーンも前作に比べると軽くなったよーな。ブラントがいないのも寂しかったけど、これは中の人のスケジュールの問題? そしてハンリー長官の死は普通にショックだった。まじか……。

総合的には、今回はシリーズ最高傑作と見てもいいんじゃないかと思う。アクションとストーリーがハイクオリティだったし、なんといっても主人公を掘り下げてきたのが大きい。しかし今回は撮影中に大怪我をしたらしいし心配になるので、そろそろ無茶をしないという選択も有りだと思う……んだけど、それでも止まらないんだろうなトム・クルーズは。