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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『L.A.コンフィデンシャル』感想

六人が惨殺された事件を機に、ロサンゼルスという街の闇が三人の刑事によって暴かれていくクライム・サスペンスで、とにかく脚本がすんげえ良かった。一応ミステリ要素もあるけど事件そのものにあんまし魅力はなくて、その分キャラクターとキャラクター同士の関係がいい。ラッセル・クロウケヴィン・スペイシーの顔の系統が近いからかバドとジャックの見分けがつかない時はあるし、登場人物が多いせいで複雑ではないはずの事件もややこしくなってるけど、直情型のバド、出世街道を爆進する有能なエド、世渡り上手なジャックの三人の刑事がそれぞれの視点から物語を上手く引っ張ってくれたおかげで混乱もなく楽しめた。娼婦のリンとマスコミのシド、主人公たちの上司ダドリーの存在感もいいな。キャストとキャラクターと盛り上げ方が優れていた作品だと思います。

特に「ロロ・トマシ」というキーワードの意味と出てくるタイミングが秀逸で、ダドリーがエドにその名を告げた瞬間は鳥肌が立った。「ロロ・トマシ」の名前を言い残したのはジャックのファインプレイだったし、エドにとって「ロロ・トマシ」という名前がどれほど重要かを理解していなかったからこそダドリーはエドという男の覚悟を見誤って背後から撃たれた、という決着が理路整然としていて美しい。

それとエドの覚悟を知ってジャックが協力してくれた時も熱かったけど、やっぱりバドとエドが手を組む展開は格別。エドがバドに車のキーを投げ渡すシーンだけで燃えたもんな。暴力のバドと頭脳のエドという組み合わせも相性抜群で、二人が手を組むのは終盤だけなのに満足出来た。二人とも刑事になるまでの背景が語られるから尚更で、バディムービーとしても楽しめたのは予想外だったな。

ラストは「警察による不祥事を何としても隠蔽したい」のと「警察のイメージを何としても回復したい」というロス市警の思惑を利用して、上手くまとめるエドの手腕が最高。ちゃっかり自分の出世にも繋げているあたりが抜かりなくていいキャラだな本当に。リンも故郷で店を開きたいという夢を語り出した時は死亡フラグに思えたけど、バドと一緒にその夢を叶えられそうなエンディングで良かったんじゃないでしょーか。傑作でした。