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『クレヨンしんちゃん / ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん』感想

突然ロボットになったひろしを中心とした野原一家が、人々を煽動するちちゆれ同盟に立ち向かう様を描いたSFコメディ。今回はなんつっても自我を持つロボットの葛藤描写が描かれていて、いつものスラップスティックコメディの中に鮮烈なシーンが挟まれるので威力があり、それも結構グサグサ来る。事前に散々「泣ける」と聞いてたので構えて見てたけど、泣き上戸なのでやっぱり最後も泣いちゃったな。「父親」を描いたストレートな脚本もいいし、素直に面白かったです。

今回、圧倒的に強い印象を残したのはやっぱりみさえだった。子供のしんちゃんにとってはとーちゃんもロボとーちゃんもどちらも等しく「父親」でみさえもそのことを分かっているんだけど、大人であるみさえはロボとーちゃんを「夫」と見ることはできない。だから生身のひろしとの再会ではロボとーちゃんのアイデンティティを容赦なく粉砕し、最後の腕相撲では「あなた、勝って!」の一言が勝敗を決定づけてしまう。みさえのこの言動が残酷なのに納得できてしまって、その圧倒的な断絶に泣いた。しんちゃんは大嫌いなピーマンを食べ切ってまでロボとーちゃんを取り返そうとするシーンが強いから尚更、みさえとの違いが胸に来るんですよね。

しかし黒幕の正体が黒岩署長だったのは予想外だった……。クライマックスの五木ひろしロボの登場もグダってるし面白いわけではないけど、今までゲスト芸能人を迎えてきた劇場版『クレしん』ワールドならまあいいのでは、とも。