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『グレイテスト・ショーマン』感想

伝説の興行師フィニアス・テイラー・バーナムの半生を描くミュージカル。オープニングからぐっと掴んでくるキャッチーな楽曲の数々は耳に残るし役者のパフォーマンスにも魅せられたけど、それ以外が中途半端で私には響かなかった。後日サントラを聞いてみようかなとは思うものの、やっぱりミュージカルは合わないのかもしれない。

この映画はキャラクターに迫ることがないまま豪華な見せ場を繋いでいくので、先が見たいという気持ちがあんまり湧かないんですよね。バーナムもジェットコースターのような人生を歩んでいるはずなんだけど、キャラクターの掘り下げが浅いので波がなく物足りない。ろくでもない面をもっと強く描いて欲しかったし、承認欲求に溺れていく様ももっと愚かしく恐ろしく描いて欲しかった。しかし結局みんなが主人公に甘いのもあり、最後までフワフワした印象で終わってしまう。家族やサーカス一座とのシーンもあまりないのでラストの爆発的なエモーションも得られず、だから「細かいことはさておき感動して幸せになれたからそれで良し」という感想も持てなかった。

そんな中で、フィリップとアンが初めて会うシーンはお気に入り。空中ブランコに乗って迫ってくるアンに見惚れるフィリップを、スローモーションで切り取るショットがいい。中盤の二人のダンスもダイナミックで良かったし、ゼンデイヤが好きなので彼女のシルエットにも映える肉体美を堪能できて満足。一方ザック・エフロンはあまり好きじゃなかったんだけど、『ヘアスプレー』以来の歌って踊る姿を久しぶりに見てやっぱり様になるなと実感した。バーのカウンターを使ったバーナムとのダンスも楽しい。主役のヒュー・ジャックマンも他にはクリスチャン・ベイルと地獄みたいな嫌がらせラリーを繰り返す『プレステージ』しか見てなかったので歌唱力の高さに驚いたし、手足の長さがダンスにも活かされて魅力的でした。ミュージカルはやっぱり苦手だけど、評価の高いヒュー・ジャックマン主演の『レ・ミゼラブル』も見てみようかなとは。