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『クレヨンしんちゃん / 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』感想

すんげえ良かった。話に聞いてた通りの名作だった。これまでの『クレしん』劇場版とはちょっと雰囲気が違うけど、それでもちゃんと『クレしん』になってるのね。私は原作版やアニメ版『クレしん』は見たことがないのでこれは想像でしかないんだけど、本来なら『クレしん』は主に日常を描く作品なのかなと感じていて、でも劇場版で展開されるような非日常な世界とも親和性が高いんだよな。それは野原一家のキャラクターのブレなさと非日常にも対応出来る柔軟性にあり、それこそがしんちゃんワールドの最大の武器になっているのかなとそんなことを思ったりも。

しかし親に邪険にされても大人がおかしくなっても子供として自分のやるべきことをこなそうとひまわりを抱えながら一人で頑張るしんちゃんて、まーじで健全な精神の持ち主なんだな……。だからこそ、そんなしんちゃんやひまわりが生まれてくるまでの過去を回想するひろしのシーンは号泣した。ずるいだろあんなん。ノスタルジーの誘惑に抗いながら、ひろしやみさえがしんちゃんを上へと行かそうとするのもいい。ひたすら最上階を目指して必死に登るまだ子供のしんちゃんが、ひろしやみさえに背中を押されながら未来へと邁進しているようでぐっと来るんだよね。

かすかべ防衛隊による逃走劇も楽しかった。バスの運転はそれぞれのキャラクターが出ていたし、スナックでのシーンもみんなノリノリで面白かった。しかし20世紀博で大人たちが子供になっている間に子供たちが大人になりきってごっこ遊びに興じる、てのはなんかこう来るものがあるな……。かすかべ防衛隊の出番は前半で終わるけど、「懐かしさ」を理解出来ない風間くんも印象的だった。そりゃそうよな。幼稚園児には大人たちが感じるノスタルジーを理解するのは難しいんだから。

ケンとチャコの穏やかさも良かったし、ケン役を演じた津嘉山正種の声も心地良かった。私は今回描かれていた万博などの昔のネタは分からないしひろしとみさえには同調出来なかったけど、「イエスタデイ・ワンスモア」という名前はいいなと思った。