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『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』感想

ビビッドカラーで固めた衣装が目を引くキービジュアルを見た時に「これは絶対面白いやつだな」と直感したものの、私のこの手の直感は悲しいことに外れることも多いから期待しすぎないように、と思いつつやっぱり期待して鑑賞。結果は期待以上だった。うわ珍しい。

まずキャラクターがいい。館の住民は一筋縄では行かないような曲者ばかりだけど、中でも「お前のようなムキムキニートがいるか」と突っ込みたくなるようなランサムがインパクト抜群で、「You bitch!」「You bitch!」と連呼したり遺書が公開されて醜い言い争いを始める一族を尻目にギャハギャハ笑ったりするクズ息子全開ムーブが見ていて楽しかった。クリエヴァが演じているのも面白いし予想以上に合っていた。白セーター姿もじわじわ来る。マルタもアナ・デ・アルマスの意志の強い瞳と眉が彼女の持つ善性を表していてハマり役で、ハーランの死因がマルタのミスにあることは序盤で語られるんだけど、解毒剤の紛失から彼女が嵌められていることが分かるのがフェアだし、作中でも言われていたように彼女の真っ当さが彼女自身を救って終わるのも気持ち良かった。何より、ピアノをポンポン鳴らしながらしれっと登場する風変わりな探偵ブノワが格好良い。最後に推理を披露する場面はダニエル・クレイグの熱量が凄まじく、カタルシスにしっかり酔い痴れることが出来たのも良し。ハーランも出番は少ないのに存在感があり、クリストファー・プラマーの役者としての貫禄を感じた。それと些細なことだけど相関図を求めてググったら、公式による画像がちゃんと出てくるのも助かった。エクセレントだ。

私がミステリ好きだというのもあるけど、脚本も真相がアクロバティックに展開して飽きなかったし、アメリカの縮図をカリカチュアライズしているのも上手くハマっていて面白かった。衣装だけでなく館の内装もお洒落で、ミステリの舞台としての雰囲気も抜群だったと思うな。