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『白鯨との闘い』感想

白鯨との闘い(字幕版)

白鯨との闘い(字幕版)

  • 発売日: 2016/04/20
  • メディア: Prime Video

大海原で繰り広げられるスペクタクルな冒険譚を期待していたら、結構早くに船が大破して極限の状況でのサバイバルにフォーカスが当てられていた。邦題に反して、白鯨と闘うという領域にすら立てなかった人間の敗北を描く内容だったんだな実は。こちらを見ながら悠然と泳ぐ白鯨を前に何も出来なかったチェイスの姿からもそれは明確で、傲慢な考えを持っていたポラードですら最後には鯨に襲撃されたのだと正直に告白し、自らの思い上がりを認めるに至る。想像していたものとは違ったけどこれはこれで面白かった。捕鯨シーンは私が知識皆無だったのもあって単純に面白かったし、大自然というかもはや神を象徴しているかのような白鯨の姿も迫力があった。嵐の航海や漂流中の過酷な描写にも見入る。白鯨の執拗さにはちょっと笑ったけども。

不満は人間関係の描写が浅い点で、序盤にトーマスが言うような「チェイスとポラードという二人の男の物語」でもなかった。二人の考えや立場が真逆なのは分かるしそれが面白そうなのに、そこから掘り下げてこない。いやこれあまりにももったいないですよ。チェイスとポラードだけでなく他の船員に関してもそうで、だからくじ引きをしたり死んだ仲間の肉体を食べたりすることへの悲壮感も物足りない。「船乗りは貴重なものを捨てはしない」とチェイスが重い覚悟で告げる時の表情が良かっただけに、そこだけは惜しいな。

それでもクリヘム目当てで見始めたのもあってチェイスの格好良さには満足したし、ベンジャミン・ウォーカーキリアン・マーフィーもそれぞれ良かった。人物の掘り下げの浅さや海と空の異様なCG感など気になるところもあるけど、最終的には「面白かった」という感想が真っ先に出てくる。