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『感染列島』感想

感染列島

感染列島

  • 発売日: 2017/06/16
  • メディア: Prime Video

酷かった。こんなに失笑しか出てこない映画は初めてかもしれない。安藤が頑張っている間は感染すると目や口から大量に吐血するというショッキングな映像もあって緊張感があったし、頼もしそうな安藤がいきなり感染死してしまうという絶望感からどう立ち向かっていくのかと、続きが気になるくらいには面白そうに見えたんですよね。でもこれ以降が微妙。

とにかく主人公を始めとして医者が多く出てくるけど、みんな当然の義務すら怠っているのが気になってしゃーない。自分が感染している可能性があるなら報告すべきだし、そんな状態で渡航するのも音信不通になるのも以ての外だし、感染している自覚がありながら患者の治療にあたるのは言語道断だし、他にも色々あるけど素人の私ですら「いやこれはあかんやろ」という行動のオンパレードでひっくり返った。現場を放置して一介の医者が海外まで感染源を調べに行くのもよく分からないし(そもそも出国出来るのか)、大量に吐血する人と綺麗なまま死ぬ人と何故か回復する人との違いすら謎。おまけにウイルスは、神の責め苦や罰といった意味から「ブレイム」と名付けられたのが寒い。私にはこれが一番キツかった。アナウンサーが「何故日本だけが神の責め苦を受けなきゃいけないのでしょうか」とか言い出した時は悪い意味で鳥肌が立った。街が『北斗の拳』みたいな荒廃した世界になってるのもギャグにしか見えない。

そんな中でトリアージの葛藤を描くシーンは良かった。治る見込みのない患者を次々と切り捨てて他の患者の治療に当たるんだけど、それでも全員は助けられない。しかしこれは誰も悪くない。でもこの後に、打ちひしがれた栄子が松岡と雨に打たれながら抱き合うシーンを入れてきたのは萎えた。せっかく盛り上がってきたところに、いちいち松岡と栄子のシーンに繋げて水を差すのはやめて欲しかった。この二人の時だけ毎回わざとらしく雨や雪を降らせる演出が入るのもキツい。ラストも松岡が危篤状態の栄子に会うために長野まで車を走らせていて驚いたけど、途中でガス欠で病院まで走っていく流れや栄子の最期なんかは陳腐すぎてもう見てられなかった。

とにかく登場人物がことごとく感情で動くのが厳しいし、製作者による松岡と栄子のロマンス偏重ぶりもたいへんうざい。恋愛要素はことごとく邪魔でしかなかったし、恋愛ドラマとして見ても寒い演出ばっかでしんどい。二時間半を無駄にした。