ロログ

ネタバレ映画感想とかいろいろ

『ジョジョ・ラビット』感想

ジョジョ・ラビット (字幕版)

ジョジョ・ラビット (字幕版)

  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: Prime Video

ナチスに傾倒する少年が屋根裏部屋でのボーイ・ミーツ・ガールを経て成長していく大戦末期のジュブナイルで、ものすごく優しい映画だった。だーっと泣いた。

まず衣装がいちいち良すぎた。絵を描く人なら描きたくなるというかそそられるデザインだった。キャラクターもいい。ジョジョやエルサ、ヨーキーといった子供たちがそれぞれ愛おしいんだけど、特にジョジョがエルサにつく嘘がどれも幼くいじらしく可愛らしい。最後の嘘はすぐにバレるとはいえエルサにしてみれば笑えないものだけど、それもエルサを引き止めたい一心から、てのが泣けるじゃないですか。

そんなジョジョを見守る周囲の大人も最高で、特にロージーレジスタンスだけど、思想が異なるどころか敵とも言える息子の考えを否定しないし自分の意見を押し付けることもなかった。キャプテン・Kも粋な男で、冒頭でいきなり敗戦濃厚だとぶっちゃけるのはちょっと笑ったけど、敗戦後にジョジョを助けるところはボロボロ泣けた。ゲシュタポ訪問時にジョジョのところに来たのも偶然ではないだろうし、ロージーが処刑になったことをジョジョに伝えに来ようとしたのではないか。彼もロージーとは違う形で「現実の戦争」を教えようとしていた優しい大人だったのだなと。側近のフィンケルとやたら仲が良かったからゲイなのかもしれんけども。あとロージーとの仲を見るに、彼もレジスタンスに協力していた可能性は高そう。

そしてワイティティ監督が演じるアドルフはイマジナリーフレンドとしてジョジョの先入観を表現すると共に、それを打ち砕いていく様もしっかり描いているのでたいへん分かりやすい。最後に蹴り飛ばされるのも痛快で、これによってジョジョの幼い戦争ごっこ終戦に至ったのが上手い結末でした。

しかしあの長々と続く「ハイル・ヒトラー」の挨拶はアホらしくて笑った。皮肉が効いている。最高。