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『ジャスティス・リーグ』感想

このシリーズの持つ暗さが私は好きだったんだけど、『ワンダーウーマン』で王道に寄せてきて、更に『ジャスティス・リーグ』ではコミカルな要素も増えてすっかり明るくなった。普通に面白かったし大いに楽しんだけど、なんか後半は『アベンジャーズ』を見ている気分になっちゃったな(監督交代の事情は後に知った)。面白いからオッケー、とは言いつつもやっぱり一抹の寂しさは拭えない。

それと明確な不満もある。各々のドラマが浅い。どのドラマも面白そうだったから尚更で、ヒーローたちがいかに孤独であるかをもっと描いて欲しかった。バットマン、スーパーマンワンダーウーマンはともかくアクアマン、フラッシュ、サイボーグは新顔と言っていいのに、彼らを掘り下げることもないままヒーロー集合のお祭り映画に着手したのはやっぱりもったいなかったよーな。その分テンポは良くなってたし面白くはあったけど、もっと面白く出来たはずだよなとも思えてしまうからもどかしい。ステッペンウルフもヴィランにしては迫力がなく、しょぼかったのも残念でした。まあ約一名が強すぎるせいもあるか……。

好きなシーンはたくさんある。ブルースがバリーをスカウトした時にどんな能力を持っているのかと聞かれ、「"金持ち" だ」と答えるところはニヤニヤした。皮肉でもあるし自虐でもあるし純然たる事実でもあり、かつ開き直りでもある。でも財力やコネってのはやっぱり重要で、強大な武器には違いない。地球では特にそうで、ブルースといいスタークといいヒーローをやるには莫大な金が必要なのだと痛感させられる。でもブルースが世界を救おうと必死なのは、「スーパーマンの死」に責任を感じているからでもあるんですよね。スーパーマンが死んで人々が絶望し、それがパラデーモンを呼び寄せるから尚更なんだろうけど、そこがちょっと切なかった。あとアルフレッドは相変わらず辛辣な物言いがちょいちょい出てくるのがいい。

ワンダーウーマンは美味しいところを掻っ攫っていくのがずるかった。スーパーマンが来るまでは彼女が戦闘におけるリーダー的存在で格好良い画は多いし、アクアマンに縄を仕掛けた時のお茶目な表情とか、箱を引き離したスーパーマンとサイボーグを呆れつつも微笑ましく見つめているところとか可愛いシーンもある。

スーパーマンは強すぎて、やはり「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな」状態だった。ただ、彼がいかに孤独だったかは『MoS』で語られていた分、家族や恋人以外にも仲間と呼べる存在が出来たのは良かったなと思える。エンドロールの途中に挟まれるフラッシュとの競争も二人とも楽しそうで和んだ。寝起きの悪さが規格外だったのはご愛嬌。スーパーマン復活の時にあっさり箱を奪われてたのはズコーってなったけども。バットマンたちはもっと厳重に箱を管理せんかい。あとスーパーマンが復活したことを知った時の世界の反応は見たかった。

新顔はやっぱり描写不足を感じるものの、フラッシュは個性が強く目立っていた。美味しいな彼は。コミカルなシーンの数々が生まれたのはフラッシュの存在が大きいし、たくさん笑わせてもらった。「速い」という特性も分かりやすいし、戦闘でも映える。あと彼のせいで『ペット・セメタリー』が見たくなった。

サイボーグは「死にかけたけどサイボーグとして生かされてしまった」という悲劇的なキャラクターで、しかもそれをさせたのが父親であるというところが複雑で面白そうなんだけど、サラッとしか描かれなかったのが残念すぎる。ただ彼の能力はすごいし予想以上に格好良かったので、今後に期待しています。

アクアマンは「ヒゲの人魚姫」だの「フォーク男」だのと散々な呼ばれ方をされていたのが面白かったし、強がって格好つけているところが露見するところは可愛い。何よりジェイソン・モモアのビジュアルがパーフェクトといっていいし、魅力的なキャラクターだということは分かる。なのに今ひとつ目立っていなかった。押し寄せる川の水を止めたり雑魚を引きつけるバットマンのサポートをしたりはするものの、肝心のステッペンウルフ戦はワンダーウーマンの影に隠れてしまった感がある。だからこそ『アクアマン』がより楽しみにはなったので、次作への宣伝としての効果は絶大だった。……いやこれ狙ってやってんのかもしかして?