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『ワンダーウーマン』感想

ワンダーウーマンのオリジン(最近知ったアメコミ界隈用語)を描くアクション。そこそこ面白いかな、と舐めてかかってたらめちゃくちゃ面白かった。戦争を繰り返す人間の本質を描きながら、正義感が強く勇ましいプリンセスのダイアナが成長し、やがてヒーローに至る過程が自然でいい。ガル・ガドットもハマり役で、美しく可愛く慈悲深く強く格好良いのが最高。何より予想外だったのが、ダイアナとスティーブのロマンスとして見てもたいへん面白かったところなんですよね。こういう楽しみ方は久しぶりだったな。あとこれはフェミニズム映画だなとも思ったけどわざとらしさはなく、むしろそういう部分も含めて素直に娯楽作として楽しませてもらえたバランス感覚が絶妙でした。私は超人ヒーローを "神" に見立てた『BvS』のような作品も好きだけど、ヒーロー映画はやっぱりシンプルな娯楽作になっている時が一番輝くのだなと実感した。

とにかくダイアナとスティーブのキャラクターの描き方が素晴らしくて、それがヒーロー映画としても恋愛映画としても両立できた結果に繋がったのだと思います。人間の世界に来てカルチャーショックを受けつつも満喫しているダイアナは可愛かったし、一方で戦場に立った時の彼女は凛としていて格好良い。特に中盤、ダイアナが前線で敵陣に突っ込んで行く時の爆発力はすさまじく、スティーブたちのサポートを得て鐘楼をぶち壊す瞬間も痛快。そしてスティーブもダイアナがすぐに「アレス」「アレス」と連呼するのを安易に否定や修正したりせずやんわり対応しているのがいいし、何より彼は誠実な男だというのがよく分かるので、ダイアナが惹かれるのもそりゃそうよなと。恋愛描写はそう多くはないけどキャラクターの立ち方で説得力を持たせているのが、もうただただ理想的といって良かった。二人とも魅力的だったし、ガル・ガドットはもちろんクリス・パインもすんごい良かったな。私はあまりキャラクターの生死に拘らないタイプなんだけど、スティーブは珍しくこのまま退場させるには惜しいなと思ってしまったほど。二人のやり取りをもっと見ていたかった。

ただ、アレスはちょっと影が薄かった。まあゼウスに疎まれてダイアナにも拒絶された彼はもしかして寂しかったんではないかな、とは思ったけども。もともとゼウスに刃向かったのも嫉妬からだったもんな。ちなみにクライマックスのアレス戦は中盤のドイツ軍との戦いに比べるとやや盛り上がりに欠けるものの、クリリンを殺されて超サイヤ人になる悟空のようにダイアナが覚醒するところはやっぱり燃えたし、スティーブの「僕は今日を救う。君は世界を救え」という台詞があまりに良かったのでそれだけで満足してしまった。