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『素晴らしき哉、人生!』感想

中弛みはあるけど、時間が現実に追いついてからは一気に話が動き出してクライマックスに雪崩れ込み、気持ちのいいエンディングに到達する。優しい御伽噺でした。ジョージの幸福と不幸の見事なワンツーパンチが延々と描かれる回想が長いんだけど、ここで丁寧に描いたからこそジョージの絶望とその後の希望を抱くまでに至る経緯にも説得力が出たし、この構成で良かったのだろうなと。

特にいいなと思えたのは、ハッピーエンドに到達できたのが天使の力によるものではなくジョージのこれまでの行動によるものだったところで、クラレンスはきっかけを与えただけに過ぎない。しかしそのきっかけこそが重要で、ジョージを絶望から掬い上げるには「ifの世界を彼に体験させる」という天使でないと出来ないような超常的な手段が必要だった。だから天使の存在にもちゃんと意味がある、というところが好き。しかし「あんまりよろしくないifの世界を見せて主人公の認識を変える」という展開は、『BTTF2』を思い出して懐かしくなっちゃうな。