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『クリスマス・クロニクル PART 2』感想

悪い作品ではないけど物足りない。前作は「サンタの存在は子供だけでなく大人に対しても意味がある」ということを見せていたのが良かったのに、今回は普通に「サンタと子供の話」になってしまってるんですよね。それで作品に新たな魅力が出るならいいけどそれもなく、ただの平凡な作品になってしまったような。もっと言うとクリスマスである必要がない。一応動機にはなってるんだけど、なってるだけで薄いのが何ともな。「クリスマス映画」というよりは「ファンタジー映画」に近い。サンタの設定はシンプルなだけに、その設定から逸れるとサンタである必要性は薄れてしまうのだな、という当たり前のことに気づくきっかけにはなった。

あと前作が過不足なくまとまっていたのもあり、今回は無理に続編を捻り出している感も漂う。特にタイムマシンの登場は、ケイトと父親のエピソードを入れたいがために突如割り込んできたように思えてしっくり来ない。旅客機の合間を抜けて滑走路に不時着するソリや空港でのライブ、単4電池で動かすタイムマシンなどそそられる要素はいっぱいあったんだけども。

キャラクターに関しては、新キャラのベルスニッケルがケイトと同じく「親を奪われたと感じている子供」なんだけど、サンタの身内にとって「子供たちのために頑張るサンタ」は「仕事を優先して構ってくれない親」になってしまう、という視点でアプローチしてきたのは良かったと思う。

テディの出番が激減したのは寂しいけど、彼の問題は前作で解決しているのでケイトにフォーカスが当たるのはまあ妥当だよなと。彼が大人に近づいていることもあるんだろうけど、だからこそちゃんと最後にはテディへのクリスマスの挨拶を忘れないサンタがいいんだよな。サンタは今までずっとああして色んな子供の成長を見送って来たのかもしれない。ちなみに前作のテディの役割がケイトに継承されたので、ケイトの役割はジャックに移っているんだけど、その幼いジャックとミセス・クロースとの会話が良かった。

「あなたを決して忘れない」
「時々は忘れるわ。そうなるべきなの」

別れ際にサンタとケイトも話していたけど、会うべきではないのだと分かっているのが切ない。しかしここまで言うなら『3』はなさそう。あるとしてもテディやケイトやジャックの再登場はもう難しいのでは。