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『HiGH&LOW THE MOVIE 3/FINAL MISSION』感想

期待しすぎたかな、というのが正直な感想。前作で広げた話を畳むことを優先するあまりにSWORDと九龍の描写がそれぞれ中途半端になっており、それで話は上手く畳めたのかというとそうでもないような。

特に九龍の活躍に期待していた分、コブラ生コンを飲ませたことくらいしか印象に残ってないのが残念すぎる。しかもコブラを捕まえられたのはコブラが無策で特攻をかけようとした結果(このコブラの暴走も説得力がないし、みんながコブラを探すシーンのカメラワークもダサかった)というのがまた……。最後に敗北を認めるシーンも謎。趣味の悪い屋上ゴルフとか序盤の岸谷五朗は最高だったんだけどな。

そして「もう拳だけじゃ解決できねえ」とコブラが嘆いていたように強いとは言っても不良が国との癒着もあるヤクザ集団に敵うはずがなく、じゃあどうするのかと言うと環境汚染問題を突くことになるんだけど、これがあんまり面白くなかった。スモーキーの最期は雪を降らせてやりすぎ感があったのとやたら長くてダレたし、馬場やエリを探す流れも無敵に思えたSWORDがストーリーに振り回される形になっているので乗れなかった。何より急に公害問題が出てきたことで、リアリティラインを含め今まで気にならなかったことが気になるようになってしまった。例えば今回だとスモーキーとエリだけ発症している謎とか、無名街の住人は病気にかかったら今までどうしてたんだとか、そもそもカジノをSWORD地区に建てるだけで都合良く全てが隠蔽出来るのかとかそういうの。

が、そうした謎も公然と行われる爆破セレモニーで全部吹っ飛んだ。政府主導で一つの街を爆破することをイベントとしてテレビで流すという、倫理観がどうかしているとしか思えない国家ならそらもうしゃーない。こんな頭の悪い展開が来たら大人しく捩じ伏せられるしかないからずるいな。でもこれこそが『ハイロー』なんだよな、ということも思い出した。

中盤の琥珀さんを中心に、SWORDと雨宮兄弟が集まるところは燃えた。雨宮兄弟と源治の戦いも格好良かった。前半の構成員との戦いでも、お兄ちゃんの踵落としとその後の「うわっこっち来た!」が美味しい。達磨も片輪走行が面白すぎるし、爆破が霞むくらいの大花火の連発も爽快。彼らは暴れてないのでそこは物足りなさもあるけど、これだけでもインパクトは十分だった。そして九龍がSWORDの未来の可能性の一つだと示されていて、こういう構図に弱いのでそこはブッ刺さった。だからこそ九龍をもうちょいしっかり描いて欲しかったんだけども。あーあとダンとテッツとチハルが戻ってくるのも納得が行かない。戻ってくる経緯が軽すぎて思わず「どの面下げて?」って突っ込んでしまったもんな。そもそもこの三人の離反エピソードは前作分も含めて蛇足だったのでは……。

爆破セレモニーで頭を殴られはしたものの、それでも不満は出てくるし全体的に暴れ足りない感はあるんだけど、二部作として見ると十分楽しませてもらえたかなとは。「推し」と言えるようなキャラクターには出会えなかったけど、クールな雨宮兄弟と飄々とした村山、渋い黒崎はお気に入りです。