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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『ヘレディタリー / 継承』感想

祖母の死を機に次々と不吉な現象に見舞われる家族を描くホラー。この作品はまずキャスティングがいいんだな。みんなそれぞれ独特のインパクトがあるけど、色んな恐怖の表情を見せてくれるアニー役のトニ・コレットや顔のアップを長く抜かれることの多かったピーター役のアレックス・ウルフの表情演技は特に素晴らしい。一方、ストーリーは『ミッドサマー』が楽しかったので期待してたんだけど、こちらは刺さらなかったらしい。

ピークは前半のチャーリーの死だった。猛スピードで爆走する車の窓から頭を出していたチャーリーが電柱に当たって首を吹っ飛ばされる様が強烈だったし、事態を察したけど察したくないピーターがしばらくの沈黙の後にそのまま帰ってしまうところはワクワクした。その後の家族間のギスギスした空気も美味で、中でもアニーとピーターのやり取りはしんどいものが多く最悪で最高。悲惨な事故も含めた家庭内の出来事を、アニーがミニチュアで再現する演出も不気味で良かった。

が、ジョーンの交霊会に付き合わされるところから徐々にテンションが下がっていっちゃったな。本当は悪魔なんて存在してないのに、一人の少年が狂った家族や信者によって何もかもを失い、自分も悪魔ということにされてしまう、という話ならあるいは好みだったかもしれない。ただ暗闇からぼやーっと現れる全裸の人々にはびびったし、シュールでちょっと面白かったです。