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『グリーンマイル』感想

グリーンマイル (字幕版)

グリーンマイル (字幕版)

  • 発売日: 2015/01/05
  • メディア: Prime Video

三時間を越える大作だと聞いてなかなか見る気が起きなかったんだけど、いざ見てみたらまったくだれなかったし、それどころかあっという間だった。刑務所という閉鎖的な空間で描かれるドラマが濃密で、極上の物語を堪能できたという満足感がすごい。鑑賞後の余韻も長く、これもちょっと久しぶりの体験だったな。

トム・ハンクスを始めとした役者も良かったし、キャラクターも看守から囚人、Mr.ジングルスに至るまでみんな個性的でいい。不思議な治癒能力を持つジョンもファンタジー的存在なのにキリストの再来のように描かれているから違和感がなく、そんな彼と死刑を執行する立場にあるポールが出会ってしまうという皮肉が好き。特に印象的だったのはメリンダの脳腫瘍をジョンに治してもらおうとするシーンで、これはポールの個人的なわがままでしかないし同僚を巻き込むのも問題なんだけど、危険を承知でみんなが協力してくれることに説得力があるのがいいよね。これまでの地道なキャラクターの描写が効いているのだなと。

もう一人印象に残ったのがパーシーで、中盤のハイライトであるデル死刑のシーンは凄まじかった。スポンジを濡らさないのだろうな、とは予想出来たけど、まさかあんなむごたらしい死に様を与えることなろうとは彼も想像していなかったようだし、覚悟もなく自分のしたことに怯える姿は見ていて苦々しい。ここはさすがに気が滅入った。それほどに刑務所という空間をかき回したパーシーの存在は大きかった。更に意識障害のある状態で彼が極悪人ウォートンを撃ち殺し、そのまま廃人と化してしまうのは、ジョンにその意図がなくても天罰に思えてくる。唇の隙間からチロチロ覗かせる舌がキャラクターに合ってて良かった。

そして天罰を受けたのはポールもそうで、無実と知りながらジョンを死刑囚として殺してしまったことを悔いている。重い十字架を抱えたまま一人孤独に生き続けていく弱々しい背中が哀しい。素晴らしい結末でした。