『破』続編。賛否両論とは聞いてたけど、『序』を「起」、『破』を「承」、『Q』を「転」として明確に位置付けているのもあるのか今までにない魅力があって面白かった。理解の追いつかない箇所も多かったけど、それ以上に戦闘シーンが早すぎるのと背景が赤黒いのとで何が起きてるのか分かりにくいことのほうが気になった。劇場のスクリーンならもう少し見やすかったのかもしれないけども。
とにかく今回は舞台設定ががらりと変わっていたことに驚かされた（カヲル君との交流や彼の死なんかはテレビ版を踏襲しているけども）。いきなり14年後に飛ぶことになるとは思いもしなかったもんな。ただ、「人類と使徒の戦い」ではなく「人間同士の戦い」という構図が表面化しているところは好みだったので楽しく見れました。
ミサトさんは相変わらずぶっつけ本番での博打作戦を強行しており、運がいいのか指揮官としての勘が優れているのかは分からないけどやっぱり上司にはしたくない人だと実感。しかし混乱するシンジに説明する気がまったくないヴィレのクルーにはイラッとするより違和感が先に来た。シンジに辛い現実を突き付けることになるからとか哀しみや恨みがあるからとか腫れ物扱いしか出来ない各々に事情はあるにせよ、あんな冷たい態度を取るくらいならきちんと伝えるのが筋じゃなかろうか。一方、14年ぶりに再会しても息子には13号機に乗れとしか言わないゲンドウのほうは相変わらずだった。変わったの眼鏡だけやんけお前。そんな中でカヲルだけが何が起こったのかを教えてくれるので、そらシンジもカヲルを信じちゃうよなと。重すぎる罪悪感から逃れたいという一心もあるから尚更。
しかし「僕がどうなったっていい。世界がどうなったっていい」とシンジがレイを救うことだけを願い、そこからサードインパクトが発生し、世界は絶滅寸前に陥り、それを招いたシンジも疎まれることになるとはなんたる皮肉。シンジが初めて自分からエヴァに乗ってレイを救うという前作の圧倒的ヒロイックなカタルシスがここまでの悲劇に帰着するの、意地の悪い展開だなまったく。ただ、シンジが自分で言った通りになってるのは確かにそうなんだけど、だとしても世界がどうなってもいいと言いながら世界が瀕死になったことにショックを受けるシンジを責めるのはあまりにも酷でしょう。大罪を犯してしまった、という事実だけでも辛いのにな。その上で結局レイは助けられてないとかどんだけシンジを虐めたいんだ庵野監督は（今更）。更にクライマックスでは再びフォースインパクトへの引き金を引いてしまい、カヲルはやはり意味深な言葉を残してシンジの目の前で首が吹っ飛ぶという壮絶な退場。ここから物語をどうやって畳むのやら。
マリは面白そうなキャラっぽい気配は感じるのにいまだにそこでとどまってる感じで、今回も彼女の魅力が大いに発揮されるシーンがあまりなかったのは残念。「ニャ」とか「モチのロン」とか「よろぴく」とか台詞が古いのもやはり気になるけど（ミサトさんの「ちょっち」もあれだったけども）、次はさすがに活躍してくれる……んですよね？ あと次と言えば、ミサトさんが最後まで予告を「サービス、サービスゥ！」で締めていたのは予想外でした。
