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『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』感想

『序』続編。前作はほぼテレビ版をリメイクしたような印象だったけど、今回はテレビ版の内容を基本にしながらも話を大胆に広げていて、これがすんげえ面白かった。シンジは今回も理不尽な目に遭ってるけど、皮肉なことにそれで盛り上がってしまうのが『エヴァ』なんだなと改めて。あと今回は思ったよりもずっとエンタメしていて、そこも含めて予想外でした。ちなみにテレビ版と旧劇を見た時はゲンドウが一番好きなキャラクターになったけど、新劇でもそれは変わらないようです。

開幕が新キャラのお披露目で、『序』とは違う予感にワクワクした。結局マリの出番は少なかったけど、それでも第一印象よりずっと面白そうなキャラクターだったな。語尾に「にゃ」をつけるのは微妙かなと思ったけど、本格的に登場して台詞も増えたら印象は良くなるかもしれない。あとアスカも登場したけど「惣流」ではなく「式波」になってる理由は謎のままなのね。

前半のサハクィエル戦は面白かった。サハクィエルの落下地点まで急ぐ初号機のために、ミサトが緊急コース形成を指示するところは燃える。シンジ、レイ、アスカの連携もいいし、この後で父親に初めて褒められて戸惑うシンジもいい。しかしこれはテレビ版でもあったエピソードだと思うけど、ここで何故シンジだけを褒めたのかちょっと分からん。いや特に意味はないのかもしれないし、もしかしたらゲンドウ本人も分かってないのかもしれないけども。しかしゲンドウと冬月はいつも一緒だなとは思ってたけど、レイとゲンドウの食事にまで離れたところで冬月が突っ立ってるのはなんか笑う。

後半は更に物語に没入した。碇親子の仲を取り持とうと食事会を発案するレイ、シンジのために料理を練習するレイとアスカ、シンジをどう思うかとアスカに問われて「心がポカポカする」と答えたレイ、シンジとレイのためにテストパイロット役に名乗り出たアスカ、アスカとミサトの穏やかな電話の会話、と後で派手に崩すためのジェンガを丁寧に積み上げるかのような不幸フラグが大量に。来るぞ来るぞと構えていたので、松代で爆発が起きた時はちょっとテンション上がった。確かテレビ版では3号機にはトウジが乗ってたと思うんだけど、こっちはより残酷で、でもより面白くなっていてもう大満足。しかし「今日の日はさようなら」の使い方はあんまりにも露骨すぎて笑う。ひっでえ! あとダミーシステムの制御する初号機がエントリープラグを噛み砕いた時に赤い液体が溢れて虹がかかっていたけど、あれが一瞬アスカの血に見えてギョッとした。まあ多分LCL……でもなく、そもそも「使徒の血による虹演出」を今まで何度もやってるんだから使徒の血かやっぱり。

そしてシンジが一旦ネルフから離反し、シンジがいない中でのゼルエルの襲来でマリとレイが必死に戦うのだけど、ここでのレイの「碇君が、もう、エヴァに乗らなくていいようにする」という台詞が一番涙腺に来た。その後のシンジの決断も熱いよね。世界よりたった一人を求めたことで神に近づいた初号機を、世界よりたった一人を求めているゲンドウはどんな気持ちで見上げていたのか。しかしシンジ、レイ、アスカの微笑ましいドラマから神話へと話がドライブするの、豪快だ……。