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『ドラゴンクエスト / ユア・ストーリー』感想

すさまじい炎上ぶりだったからハードルを下げての鑑賞になってしまい、こういう時は大抵「言われるほど酷くない」という感想になりがちなんだけど、『ドラクエ5』というゲームに思い入れがあるせいかキレるまでは行かないものの「おもんない」という感想になった。

まず3Dモデルのキャラクターデザインが好みじゃないし、表情やリアクションもオーバーでちょっとやかましく感じてしまう。妙に軽いリュカのキャラクター造形も好きになれない。『ドラクエ』って基本的にはほぼ喋らない主人公だけど(最近の『ドラクエ』はプレイ出来てないので分からん)、『5』では珍しく息子の台詞などから主人公像がうっすら見えることがあって、そこにパパスを殺したゲマへの憎悪を感じられたことが私には衝撃だった。だから尚更『YS』のリュカが能天気に見えるのがショックだったんですよね。これには理由があったし、そもそも原作と映画は別のものとして考えたほうが楽しめるだろうけど、それだけ原作に思い入れがあったんだな。雪の街と化したサンタローズや、加勢してくれるブオーンといった改変は特に気にしてないんだけども。

一番がっかりしたのがダイジェストにされていた道中で、すでにプレイしている人向けなんだろうけど単純に見ていてつまらなかった。劇的なはずなのに盛り上がらない冒険が辛い。尺の問題もあるんだろうしダイジェストになってる理由も最後に明かされるけど、その理由もおもんないのが困る。ミルドラースに擬態したウイルスの「大人になれ」に対し、ゲームの世界も大事なんだとリュカが反論するクライマックスも、彼自身が子供時代をスキップしているからあんまし説得力がない。このオチを今わざわざ映画でやるというのも滑ってる感が。更に唐突に出現するアンチウイルスのスラりんにも呆気に取られたけど、そこで与えられるのがロトの剣ってあたりがセンスなさすぎる。『5』でロトの剣は関係なかったはずだし、とりあえずロトの剣を出しとこうみたいな安直さに萎えてしまった。

良かったところもある。フローラ派としても結婚周辺のフローラの扱いは原作ではサラッと描かれるのもあって悪くないと思ったし、なんつってもアルスが天空の剣を抜刀するシーンはめちゃくちゃ熱かった。鳥肌立った。あそこは好きなシーンだった。

ところでVR版『ドラクエ5』をやっている間は一時的にプレイヤーの記憶がキャンセルされる、というシステムは危険すぎませんか?