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『ディアボロス/悪魔の扉』感想

法曹界を舞台にしたオカルト・サスペンスでまあまあツッコミどころはあるんだけど、アル・パチーノが可愛かったので満足してしまった。更に格好良い黒コート姿も拝めるわ楽しそうに演じているわで、アル・パチーノの魅力を堪能する映画としては最高ですよこれ。

悪人かと思いきや本当に悪魔だったという展開には驚いたけど、悪魔を演じるアル・パチーノの演技が圧巻で、ぶっ飛んだ設定も有りだなと考えを改めた。現代を支配しているのは法律だから法曹界で活動する、という理由が語られた時は「なるほどな」と納得しちゃったもんな。「人間界を満喫している悪魔」と考えると可愛いと思えてくるし、この映画は「サタン(多分)が息子を前にはしゃぐ物語」と解釈しても間違ってはいない。ミルトンの狙いと正体を知った上で最初からやり直すチャンスを与えられたのに、それでも結局は注目を浴びたい虚栄心に抗えないケヴィンを見てミルトンがニッコニコだったのは笑った。ここで物語が終わるところもいい。悪魔が用意した舞台で踊り続ける息子を特等席で鑑賞するのは、さぞ楽しかったんだろうな。終盤のケヴィンとの対決で神をこき下ろすシーンも好き。ただ、炎や爆発やうねうね動く背後の白いレリーフなどの謎演出は必要なかったと思うな。過剰で安っぽい。アル・パチーノの演技だけで見せた方がずっと悪魔的だった。

真実を知りながら見て見ぬ振りをすることへの苦悩に苛まれながら、それでも虚栄心に負けてしまう弱さを持つケヴィンも面白い主人公だった。被告人が悪魔だろうがなんだろうが弁護を全うするのが弁護士の使命である、という事実を分かりやすく表現していて、まさにミルトンが好みそうな仕事やんけ。あと今更ながらキアヌ・リーヴスは正統派美形だったんだな、という気づきを得た。メア役のシャーリーズ・セロンも少しふっくらしているけど、今とはまた違う美しさがあって目の保養になった。おかしくなっていく過程にはやや唐突感もあったけど、体を張った演技もあって同情は出来る。

とか感想を書いているうちにラストのミルトンの大演説だけでも今から見返したくなってきた。吠えるアル・パチーノはやっぱり最高。