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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『ダ・ヴィンチ・コード』感想

殺害されたルーヴル美術館館長の残した奇妙なダイイング・メッセージから、宗教象徴学の教授と暗号解読官が二人で謎を追うサスペンス。とにかく宗教と歴史と謎に振り回されているキャラクターを眺める二時間半だった。疲れた。キリスト教については門外漢なのでついていくのがしんどかったし、"聖杯" と言われても『Fate』が真っ先に思い浮かぶほどで、終わった今でも理解出来てないところはたくさんある。更に重要なシーンの連続で退屈はしないものの、重要な要素をそのまま数珠繋ぎにしたような構成になっているからドラマがあんまりない。現にキャラクターはラングドンやソフィーを含め、誰一人ピンと来なかった。ラングドンがどんな人だったかと問われても「専門学の教授」としか答えられねんですよね。二時間半も見たのに設定しか理解出来てない。あと字幕がめちゃくちゃ分かりにくく、これもかなり響いた。ただ、粗は多いけど好きな要素もあったから嫌いにはなれないし、フランスとイギリスの観光映画としてはまあまあ楽しめたかなと(それだけに画面の暗いシーンが多いのは残念)。少なくとも、原作はかなり読みたくなりました。

一番前のめりになったのはティービングが "聖杯" の解釈を語るシーンで、キリストに子供がいるという話は荒唐無稽ながらも刺激的だったし、ここでようやく宗教に疎い私でも「解釈違い同士の争い(と、そこに歪んだ知的探究心から暴走するティービングが介入した)」と雑に捉えることで納得できた。

ちなみに謎はラングドンがするする解いて勝手に答えを教えてくれるから、推理小説を読む時も自分で謎解きなどまったくしない私にはそれがありがたかった(自力で解答に辿り着ける自信がないのと、謎解きよりさっさとストーリーを進めて欲しいタイプの読者なのでこうなる)。暗号解読官であるはずのソフィーにはもうちょい活躍して欲しかったけども。

ルーヴル・ピラミッドの地下にマリアの棺が眠っていることに気付き、真上の地上からラングドンが騎士のように跪くラストシーンは素晴らしい。ハンス・ジマーの壮大な音楽も相俟って震えた。