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『CUBE』感想

キューブ (字幕版)

キューブ (字幕版)

  • ニコール・デ・ボア
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いきなり始まるのも少し驚いたけど、最後まで無駄な要素が無いのはいいな。「罠を避けて脱出する」という目的もシンプルだし、それぞれのキャラクターも彼らが着せられている服もシンプルで分かりやすい。シンプルなだけにキャラクターの掘り下げは深くはないけど、それでも最低限のポイントは抑えてあるし十分だと思う。

面白かったのが主人公然とした警官クエンティンと無気力なワースの対照的なキャラクターで、特にクエンティンは初対面のレヴンに馴れ馴れしいおっさんだなと思ったら見事な暴君になっていくのが最高。ワースも自分がこの立方体の建造に関わっていたという負い目があり、だからこそレヴンやカザンだけでも何とか逃そうとしていくのがいいな。

結局キューブの目的や正体、背景などは明かされないけど、ワースが話していた「特に目的のないまま作られた」という理由がそれらしくて気に入った。無責任な人たちが作ってしまった箱、てのが寓話的で面白い。謎解きはちょっと強引な印象も受けるし、そもそもキューブの罠や謎解きのギミック自体は浅いんだけど、人間関係にフォーカスを当てるための作品だと思うので、まあ。一人で生きていけるのか分からないカザンだけが脱出するという、どうにも不安を拭えないエンディングも好き。

ただ、滑ってる感のある台詞がちょいちょいあるのは気になる。クエンティンとホロウェイの衝突もしっくり来ない時があったけど、ホロウェイを殺した後にレヴンを連れて自分だけ助かろうとしたクエンティンの、人の心が見えるだのワースがスパイだのの台詞には素でクエスチョンマークが浮かんだ。唐突なのもあってなんかアホっぽいんだよなここ。