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『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』感想

粗もあるけど面白かった。初登場のDCEU版バットマンの背景、スーパーマンの苦悩、ルーサーの暗躍、ワンダーウーマンを含め次作への布石も打ち込んでいて、ここまで来ると少し窮屈な感じはあるもののギリギリで上手くまとめて形にしてるんじゃないかなと。序盤から話が飛ぶし二時間半は長すぎるけど、それでも楽しめたし好きな作品だな。

特に面白かったのは超常的な力を持つスーパーマンを「神」として描いているところで、死者の日のメキシコ火災で少女を助けたスーパーマンが仮装した住民に囲まれるシーン(何かの絵画モチーフがあるのかも)やドゥームズデイ戦後の「十字架降架」や「ピエタ」など、宗教画を意識した画が多く美しかった。あとバットマンが用意したクリプトナイトを装備した槍は「神殺しの槍」でもあり、それがドゥームズデイという悪魔ごとスーパーマンというを殺してしまうのも好みの結末(スーパーマンは復活フラグが立ってたけど、それも含めて「神」としての役割が割り振られているのだと思う)。スーパーマンはちょっと真面目すぎて『MoS』ではピンと来なかったけど、今回のスーパーマンは以前より好きになれたかもしれない。あと公聴会に出席するスーパーマンはやっぱりシュールで笑う。

ベンアフの演じたブルースも孤独な背中が良かったし、ノーラン監督版ゴッサムはあっさり平和になった感が拭えなかったけど(それでもあの三部作は面白かったし納得もしている)、こちらの「20年頑張ってきたけど未だにゴッサムの腐敗は健在で、精神が疲弊しつつあるブルース」の姿がまさに私が見たかったブルースだったので美味しい。そうして冷酷な自警活動を行うようになった彼がどうやって目を覚ますのかがキーなんだけど、マーサの名前を出すことでスーパーマンとの和解と同時に解決に至るのが上手かった。彼にとって両親の死はトラウマでありバットマンになった最大の理由でもあるから、両親の死がフラッシュバックしたことで歪んでいた精神が一気に引き戻されたのは納得の行く流れだった。あと皮肉増量のアルフレッドが格好良かったです。いい主従だな本当に。ブルースの両親の葬儀から始まり、クラークの葬儀で終わるのも綺麗な構成で好き。

二人を掻き回す役のルーサーは、動機を理解するのにめちゃくちゃ苦労した。ヘリポートでのスーパーマンとのやり取りでやっと本音が出て理解出来たけど、要するに彼は父親に虐待されていた時に自分は神にすら助けてもらえなかったのだと認識して絶望し、憎悪するようになった。重要なのは「神は存在しない」と考えたのではなく、「神は万能ではないし善人でもない」という結論に至った点で、だから神だと持て囃されるスーパーマンを「神を気取る偽善者である」と貶めたかったんだな。ただ、ルーサーの動機は理解出来たけど、スーパーマンバットマンが互いを危険視するようになる流れはちょっと弱い。バットマンはすでに追い詰められていたのでまだ分からなくもないけど、スーパーマンバットマンへの警戒を深めていくシーンはもうちょい欲しかった。

ブルースの見る夢は今後の伏線ぽいけど、ロイスを失って闇落ちしたスーパーマンが出てきたら面白そうなんだよな。「僕たちを探せ」と言ってた子は次に登場するんでしょーか。ワンダーウーマンはチラチラ顔だけ見せていきなり出現したけど、それがあんまりにも格好良かったので許されるのがずるい。それもあってドゥームズデイ戦は最初は消化試合感があったけど、始まってみるとめちゃくちゃ燃えた。スーパーマンワンダーウーマンドゥームズデイと戦ってるのを、瓦礫の影からバットマンが眺めてるとこがめちゃくちゃ好き。あと無人島とか廃墟とか戦って問題のない場所をアピールしてたのもちょっと笑う。

これでDCEU作品へのテンションがやっと上がってきた感触がある。ルーサーの「鐘が鳴っちゃったよ」発言も気になるし、続きが楽しみになってきた。