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『マン・オブ・スティール』感想

マン・オブ・スティール(字幕版)

マン・オブ・スティール(字幕版)

  • 発売日: 2013/12/18
  • メディア: Prime Video

バットマン同様スーパーマンも今まで触れて来なかったので今回が初めて見る「スーパーマン」なんだけど、とりあえず映像とヘンリー・カヴィルの胸囲がすごい映画だった。

特に映像はスピード感もあって迫力満点で、スーパーマンが強すぎるせいかバトルはやや単調なんだけど、そうした欠点をリッチな映像でカバーしていた。というか『ドラゴンボール』の世界そのままだった。スーパーマンが周囲への被害に無頓着なので、悟空というよりは大猿化した悟空の戦いを見ている気分に近いけども。メトロポリスで戦うのも、とにかく破壊描写を入れたかったんだろうな。現に大友克洋作品を見ている時のような快感は確かにあった。

反面、ストーリーは説得力に欠ける場面が多く、あまり盛り上がれなかった。冒頭のクリプトン星でクーデターを起こしたゾッドを、もうすぐ星ごと滅びるのに殺さず幽閉するというのが釈然としない。ただの記者でしかないはずのロイスの扱いも謎で、スーパーマンをゾッドに引き渡す時にロイスも呼ぶ必要はないしブラックホール作戦に同行しているのもよく分からない。ジョナサンがハリケーンに巻き込まれるシーンもわざわざクラークの超常的な力に頼らなくても助けられたのでは、という気がしてどうにも。でも両親を演じたケヴィン・コスナーダイアン・レインは良かった。

キャラクターはとにかくみんな真面目で、クラークも悩んでいることが多い。例えば過去のエピソードで幼いクラークがいじめられるんだけど、それでも強大な力を持つ子にひたすら我慢を強いるジョナサンが酷だなと思ってしまった。ジョナサンの言いたいことも理解は出来るけど、私がクラークならキレてるかもしれない(その分初めてスーパーマンになって空を飛ぶ時の解放感に繋がるのだけども)。結局スーパーマンは唯一の同胞であるゾッドを殺したことで本当に孤独になり、ジョーが望んでいた「地球人とクリプトン人の架け橋になる」という可能性も潰してしまうので、最後まで苦悩させられていた感がある。

しかし息子を助けたいというジョーの気持ちは分かるけど、勝手に宇宙人を送りつけられた地球にしてみれば迷惑な話でしかないんだよな。というか今回の話は言ってしまえば「スーパーマンを含む宇宙人が地球で勝手に暴れる話」なので本当に「大迷惑」以外の言葉が出てこないし、共存とかもう無理じゃねえかな正直。あそこまでスケールのでかい迷惑は一周回って笑えてくるけども。あとバイトするスーパーマンヒッチハイクするスーパーマンはまだクラークの姿だったからいいんだけど、手錠をかけられるスーパーマンはタイツ姿だからシュールで面白かった。ところで胸の「S」はSupermanのSだと思ってたんだけど違った(?)のね。

今回のヴィランであるゾッドは、唯一好きになれたキャラクターかもしれない。遺伝子レベルで生き方を縛られているという設定が効いていて、同胞を失ったことでアイデンティティを見失う哀しい姿が印象的でした。

そして最後にエンドロールでクリストファー・ノーランの名前を見て、ようやくこれは「スーパーマン ビギンズ」だったのだと気づいた。