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『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 3』感想

バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3 (字幕版)

バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

三作すべてが面白い、というのは偉業だと思う。今回は西部開拓時代を舞台にキャラクターをよりフォーカスしたストーリーになっていて面白いし、シリーズ最終作としても「未来は自分で作る」という普遍的なテーマに着地するのが自然で、終わり方も気持ち良かった。私が言うまでもないけど、まさに映画史に輝く名作なんだよな。

序盤は今までマーティを助けるために走らせてきたデロリアンを、今度はドクを助けるために走らせるのがいい。西部開拓時代に一気に飛ぶけど、今回は時代をあちこちに行き来しなくなる分、遠くの時代に飛んだことでタイムトラベルの意義を強く感じるようになっているのも美味しい。

そしてマーティがクリント・イーストウッドを名乗ったことで図らずもクリント・イーストウッドがあちこちでネタになってしまうのがいちいち面白いし、このシリーズのお約束(マーティの口癖「ヘビーだな」、写真や新聞など未来の変化を確認するアイテム、ママに起こされるマーティ、カフェでタネン家に絡まれるマーティ、腰抜けと呼ばれてキレるマーティ、突然のヒロインの訪問に慌ててデロリアンを隠すマーティとドク、ヒロインを奪おうとするタネン家、肥やしに突っ込むタネン家、要所で活躍するボードなど)も健在と、相変わらず遊び心満載でニヤニヤする。マーティが鏡に映った自分に「You talkin' to me?」と言いながら銃を向ける『タクシードライバー』のパロディシーンも好き。

クララの登場はマーティの親友であるドクを奪われたようで複雑だったけど、クララとジュール・ヴェルヌの話をしている時のドクが少年みたいで可愛くて、あれを見るともうしょうがないか、と思っちゃうんだよな。今回はこうしたドクのロマンスが強いけど、マーティも「腰抜けと言われるとキレる」という悪癖を克服してマクフライ家とタネン家の因縁に決着をつけており、主人公の成長物語にもなっているのがいいよね。

終盤は列車アクション好きとしてはめちゃくちゃ楽しかった。列車アクションのある映画は名作。ドクと離れ離れになってしまった時はちょっとクララを恨んだけど、まあこれが運命というやつなんだろうな。途切れた線路の続きを描くかのような、デロリアンが走り抜けた後の痕跡が格好良い。長い旅路を終えて、やっとジェニファーのところに帰れたマーティがちゃんとキスをするのも、今まで何度も邪魔されてきたことを思うと感慨深い。時の大冒険を経て成長したマーティは更に格好良い彼氏になるのだろうなと思う。

そしてしんみりしているところに汽車デロリアンに乗ったドクが登場するエンディングは、何度見てもブチ上がる。わざわざマーティにお別れを言うためだけに来てくれたり二人で撮った思い出の写真を贈ってくれたりと、ドクが如何にマーティという友を大事に思っているかが伝わってきて泣ける。この映画の面白さの根底にあるのは、やっぱり二人の友情なんだよな。二人の別れ方もあっさりしていて、それが二人らしくてすごくいい。今度は空を飛ぶ汽車デロリアンでどこかの時代へと飛んでって終わるのも、一作目エンディングの再演にもなってて熱い。泣いた。

小さい頃に最高だと思えた作品を、大人になった今見返しても最高だと思えるのは本当に幸せだと思う。奇跡のような作品だな、と改めて。