ジョーカーと別れたハーレイが自立を目指すアンチヒーロー・アクション。ハーレイは『スースク』ではマゴロビのビジュアルはパーフェクトなのにジョーカーも含めてあまりに浅いキャラクター描写にがっかりしたんだけど、『BoP』でも満足には至らなかった。序盤はまどろっこしい時系列シャッフルとハーレイの茶化したようなくどいナレーションに萎え、中盤以降もストーリーが散漫で盛り上がらない。肝心のハーレイのキャラクターも弾け切れてない。他のキャラクターも薄く、おかげでクライマックスでも爆発力がない。アクションも切れ味がなく物足りない。ピン映画でならハーレイの魅力が輝くのではないかとちょっと期待していただけに、不完全燃焼で終わったのは残念。
オープニングのアニメーションや独創的なエンディングムービーは好きだし、ハーレイが警察署に襲撃する時にカラフルなペンキ弾やスモーク弾を打ち込むところはサイケでポップな色彩がハーレイらしくて楽しい。カサンドラ救出の時も、スプリンクラーが作動してびしょ濡れになりながらの攻防は派手な水飛沫が舞って絵になる。アクションはここが一番良かった。
顔剥ぎシオニスのキャラクターも好み。"小鳥" のダイナに裏切られて凹んだりするような、情緒不安定でグズグズなところが最高。ユアン・マクレガーがしっかり小物らしく小物を演じているのがいいよね。ザーズとの関係も面白かった。ダイナを運転手に雇ったことでザーズが分かりやすく嫉妬するのがいい。ただ、手榴弾で爆死する最期はびっくりするくらいつまらなかったな……。ブラックマスクとしての活躍もなく影がうっすい。なんだこれ？
ところでハントレスが鏡に向かって問いかけるシーンは『タクシードライバー』のパロディなんですかやっぱり？
